60 歳女性。白金製剤を含む化学療法治療後に増悪した再発卵巣がんに対し、ドキソル…
60 歳女性。白金製剤を含む化学療法治療後に増悪した再発卵巣がんに対し、ドキソルビシン塩酸塩を MPEG-DSPE(注) 修飾リポソームに封入した注射剤(ドキシル注)による治療を検討することになった。注:N-(Carbonyl-methoxypolyethylene glycol 2000)-1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine sodium salt治療導入前のカンファレンスにおいて薬剤師が情報提供する内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 本剤は、従来のドキソルビシン塩酸塩製剤の代替として使用しない。体内動態が従来製剤と異なり、用量の取り違えによる事故を防ぐため代替として使用しないとされており適切です。
- ⑵ 添加剤に大豆由来の成分が含まれるので、大豆アレルギーがないことを患者に確認した。リポソームの成分に大豆由来の水素添加大豆ホスファチジルコリンを含むため、大豆アレルギーの確認は適切です。
- ⑶ インフュージョンリアクションを軽減するためにリポソーム化した製剤である。リポソーム化の目的は血中滞留性の向上と腫瘍への集積であり、本剤ではむしろインフュージョンリアクションに注意します。
- ⑷ 高度催吐リスクのため、デキサメタゾン、セロトニン 5-HT3 受容体遮断薬及びタキキニン NK1 受容体遮断薬の3 剤を前投与する。本剤の催吐性リスクは軽度に分類され、高度催吐性リスクに対する3剤併用の前投与は通常行いません。
- ⑸ 投与中に血管外漏出が見られたときは、漏出部位と同一静脈から再度点滴を再開する。血管外漏出時は直ちに投与を中止し、同一静脈からの再開は避けて別の部位から投与します。
解説
正解は⑴と⑵です。ドキシル注はドキソルビシンをポリエチレングリコール修飾リポソームに封入した製剤で、血中滞留性が高く体内動態が従来製剤と大きく異なるため、従来のドキソルビシン製剤の代替として使用してはいけません。リポソーム膜の成分に大豆由来の水素添加大豆ホスファチジルコリンを含むため、大豆アレルギーの有無を確認します。リポソーム化の目的は血中滞留性とEPR効果による腫瘍集積であり、本剤は軽度催吐性リスクに分類されます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成