息子の相談に対するアドバイスとして、以下のうち適切なのはどれか。2つ選べ。
84 歳男性。息子と二人暮らし。長年、近隣のクリニックで高血圧症と頻脈、アレルギー性鼻炎のため、処方1 による薬物治療を受けていた。(処方1 )ビソプロロールフマル酸塩錠5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)エバスチン錠10 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 28 日分1 年前の受診で、もの忘れが多く、その日の曜日が分からなくなることがたまにあり、付き添いの息子が処方医に相談したところ、神経内科の専門医を紹介され、そこで認知症と診断された。リバスチグミンテープ4.5 mg で治療を開始し、漸増の後、現在は処方1 とともに処方2 の薬剤の使用を継続している。(処方2 )リバスチグミンテープ18 mg 1 回1 枚(1 日1 枚)1 日1 回 朝 28 日分胸部、上腕部、背部のいずれかに貼付(全28 枚)今回来局した息子から、「医師には言い忘れたが、最近、服薬時や飲食・飲水時に、むせの頻度が以前より高くなったので、誤嚥性肺炎になることを心配している」との相談があった。
息子の相談に対するアドバイスとして、以下のうち適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 誤嚥性肺炎の原因になるため、歯磨きは控えてください。口腔内の細菌が誤嚥されることが誤嚥性肺炎の原因となるため、歯磨きなどの口腔ケアはむしろ積極的に行うべきです。
- ⑵ 脱水時の水分補給には、経口補水液のゼリータイプをお勧めします。ゼリータイプの経口補水液は適度な粘度があり、嚥下機能が低下した人でもむせにくく水分と電解質を補給できます。
- ⑶ 処方1 の薬剤を55 ℃程度のお湯に崩壊・懸濁させ、とろみをつけて服用させてください。処方1の錠剤は簡易懸濁法で約55℃の湯に崩壊・懸濁でき、とろみ剤を加えることで誤嚥のリスクを下げて服用できます。
- ⑷ むせたときは、息子さんの判断で、以降は処方1 の薬剤の服用を中止してください。β遮断薬を自己判断で急に中止すると反跳性の頻脈や血圧上昇を起こすおそれがあります。服用方法の工夫を医師・薬剤師と相談すべきです。
- ⑸ 処方2 の薬剤を内服薬のドネペジル塩酸塩錠に変更するように医師に提案できます。むせが増えている患者では、錠剤の内服薬に変更すると嚥下の負担が増えます。貼付剤のリバスチグミンは嚥下障害がある人に適した剤形です。
解説
正解は⑵と⑶です。嚥下機能が低下した認知症高齢者では、誤嚥しにくい形態で水分や薬を摂ることが大切です。脱水時の水分補給には、むせにくいゼリータイプの経口補水液が適しています。ビソプロロール錠やエバスチン錠は簡易懸濁法(約55℃の湯で崩壊・懸濁)に対応しており、とろみをつけると誤嚥を防ぎやすくなります。口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防に有効で、控えるべきではありません。降圧薬の自己中断や、貼付剤から内服薬への切り替えも不適切です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成