服薬は正しく継続され、副作用もみられなかったが、1 ケ月前から労作時の息切れが徐…
63 歳男性。慢性心不全と診断され、治療中である。その他の既往歴及び常用薬はない。
服薬は正しく継続され、副作用もみられなかったが、1 ケ月前から労作時の息切れが徐々に増悪するようになった。2 ~3 日前からは安静時にも息苦しさを自覚するようになり、昨夜突然、強い咳を伴った呼吸困難が出現したため救急搬送された。下肢に浮腫が認められ、血圧は88/60 mmHg であった。心臓超音波検査を行ったところ、左室駆出率(LVEF)は30%に低下していた。さらに、胸部X 線検査により肺うっ血と軽度な心拡大の所見が認められ、慢性心不全の急性増悪と診断され入院となった。この患者の来院時の病態及び症状に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 右心機能は正常である。下肢の浮腫は体循環のうっ血を示し、右心機能の低下も示唆されます。
- ⑵ 心臓からのナトリウム利尿ペプチドの分泌が亢進している。心室への負荷増大でナトリウム利尿ペプチドの分泌が亢進しているので正答です。
- ⑶ 心電図でST 上昇が認められる。本例は慢性心不全の増悪で、急性心筋梗塞を示すST上昇の所見は示されていません。
- ⑷ 呼吸症状は、起坐位よりも仰臥位で増悪する。仰臥位で静脈還流が増えて肺うっ血が悪化するため、呼吸症状は仰臥位で増悪するので正答です。
- ⑸ 尿量は増加している可能性が高い。低血圧で腎血流が減り、レニン・アンジオテンシン系も亢進するため尿量は減少します。
解説
正解は⑵と⑷です。慢性心不全の急性増悪では、心室の壁応力の増大によりBNPなどナトリウム利尿ペプチドの分泌が亢進します。肺うっ血があると、仰臥位では静脈還流が増えて肺うっ血が強まるため呼吸困難が悪化し、起坐位で楽になります(起坐呼吸)。本例では下肢浮腫があり右心機能も低下していると考えられ、低血圧と腎血流の低下から尿量は減少していると考えられます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成