この患者の病態と治療に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
28 歳女性。入院中にクロルプロマジン100~450 mg/日で1 年以上、オランザピン10 mg/日で4 週間、リスペリドン6 mg/日で8 週間治療を継続してきたが、「誰かに見張られている」、「誰かに首をグルグルされる」、「思考がとられる」などの精神病症状(幻覚妄想症状)が消失せず、難治性精神疾患と診断された。家族の同意を得てクロザピンが導入され、投与開始から20 週間、入院での治療となった。外泊をするなど日常生活が送れる程度に症状が安定したため、以下の処方で退院となり、外来において多職種連携のもと治療継続することになった。退院時の血液検査や心電図などには異常所見が認められなかった。(処方)クロザピン錠100 mg 1 回2 錠(1 日6 錠)ビペリデン塩酸塩錠1 mg 1 回1 錠(1 日3 錠)1 日3 回 朝昼夕食後 14 日分
この患者の病態と治療に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 難治性精神疾患は治療抵抗性統合失調症である。複数の抗精神病薬で十分改善しない状態で、治療抵抗性統合失調症としてクロザピンの適応となります。
- ⑵ 中脳辺縁系におけるドパミン神経の機能が低下している。幻覚妄想などの陽性症状は、中脳辺縁系のドパミン神経の機能亢進が関与すると考えられています。
- ⑶ 糖尿病が発症した場合、速やかにクロザピンを中止する。糖尿病の発症時は直ちに中止するのではなく、血糖管理を行いながら規定に従って継続の可否を判断します。
- ⑷ 白血球数及び好中球数のモニタリングを毎回行う。無顆粒球症の早期発見のため、CPMSに基づき白血球数と好中球数を受診ごとに測定します。
- ⑸ 精神症状が悪化した場合、持効性抗精神病薬を併用する。持効性抗精神病薬は副作用発現時にすぐ中止できないため、クロザピンとの併用は禁忌です。
この問題は問題の図(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑴と⑷です。複数の抗精神病薬を十分な量と期間用いても改善しない統合失調症は、治療抵抗性統合失調症と呼ばれ、クロザピンの適応となります。クロザピンは無顆粒球症などの重篤な副作用があるため、クロザリル患者モニタリングサービス(CPMS)に基づき、白血球数と好中球数を定期的に測定しながら投与します。統合失調症の陽性症状は中脳辺縁系のドパミン神経の機能亢進が関与すると考えられています。持効性注射剤の併用は禁忌です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成