この患者の病態と治療に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
64 歳女性。身長155 cm、体重51 kg。うつ病の既往歴あり。胃がん腹膜播種転移(Stage Ⅳ、HER2 陰性)に対しテガフール・ギメラシル・オテラシル(80 mg/m²)+ シスプラチン(60 mg/m²)併用療法を開始したが、3 ケ月後に腫瘍の増悪を認めた。二次治療としてパクリタキセル(80 mg/m²)+ ラムシルマブ(8 mg/kg)併用療法を施行した。徐々に末梢神経障害が認められ、処方1 及び2の処方薬を服用していた。末梢神経障害は落ち着いたが、がん疼痛NRS(注) 8 を認めたため、トラマドール口腔内崩壊錠は処方3 に変更され、服用開始3 日目に患者面談を行った。(注)NRS:Numerical Rating Scale(処方1 )トラマドール塩酸塩口腔内崩壊錠50 mg 1 回2 錠(1 日6 錠)メトクロプラミド錠5 mg 1 回2 錠(1 日6 錠)酸化マグネシウム細粒83% 1 回500 mg(1 日1,500 mg)1 日3 回 朝昼夕食後 7 日分(処方2 )アミトリプチリン塩酸塩錠25 mg 1 回2 錠(1 日2 錠)ゾルピデム酒石酸塩錠5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 就寝前 7 日分(処方3 )オキシコドン徐放錠10 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)1 日2 回 朝夕食後 7 日分(検査値)項目 面談7 日前 面談時AST(IU/L) 11 9ALT(IU/L) 20 14BUN(mg/dL) 25.4 30.9CCr(mL/min) 45.1 35.5Na(mEq/L) 138 135K(mEq/L) 3.8 4.5Cl(mEq/L) 99 101空腹時血糖(mg/dL) 111 108面談内容は以下のとおり。患者: 麻薬と聞いて不安だったけど、痛み止めが効いたよ。薬剤師:痛みが落ち着いてよかったですね。食事とお通じはいかがですか。患者: ご飯は食べてます。お通じは、トイレの時にいきみますが、スッキリしなくて残った感じがあります。
この患者の病態と治療に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 腫瘍マーカーのCEA やCA19-9 の上昇が見られる。胃がんではCEAやCA19-9などの腫瘍マーカーが上昇することがあり、病勢の評価に用いられます。
- ⑵ 予後は、グリーソン(Gleason)スコアによって評価される。グリーソンスコアは前立腺がんの病理学的悪性度の評価に用いる指標で、胃がんには用いません。
- ⑶ 二次治療による横紋筋融解症に注意する。パクリタキセルとラムシルマブの併用療法で特に注意すべき副作用は、横紋筋融解症ではありません。
- ⑷ 重度の動脈血栓塞栓症が出現した場合、ラムシルマブを中止する。ラムシルマブは血管新生阻害薬で、重度の動脈血栓塞栓症が出現した場合は投与を中止します。
- ⑸ 二次治療が治療抵抗性となった場合には、トラスツズマブの追加を考慮する。トラスツズマブはHER2陽性胃がんに用いる薬で、HER2陰性の本患者には適応がありません。
解説
正解は⑴と⑷です。胃がんではCEAやCA19-9などの腫瘍マーカーが上昇することがあり、病勢の把握に用いられます。二次治療で用いるラムシルマブはVEGFR-2に対する抗体で、血管新生を阻害するため、動脈血栓塞栓症、高血圧、出血、消化管穿孔などに注意が必要で、重度の動脈血栓塞栓症が出現した場合は投与を中止します。グリーソンスコアは前立腺がんの評価に用いる指標で、HER2陰性の胃がんにトラスツズマブは適応がない点で区別できます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成