治療開始後、血清カルシウム値が12 mg/dL を超えたため、薬物を追加すること…
73 歳女性。左前頭部が柔らかく腫張しているのを自覚し、かかりつけ医を受診した。腫瘤性病変を指摘され、精査加療目的で紹介入院となった。CT 検査で頭蓋及び四肢に骨病変が認められた。骨髄検査の結果、単クローン性の形質細胞が37.0%であったことから多発性骨髄腫と診断され、以下のDLd(ダラツムマブ、レナリドミド、デキサメタゾン)療法が開始された。DLd 療法 1 ~2 サイクルのレジメン投与日 薬剤名・規格 投与方法Day 1,8,15,22 ダラツムマブ(遺伝子組換え) 16 mg/kg 点滴投与点滴静注100 mg/5 mLDay 1~21 レナリドミドカプセル5 mg 25 mg 経口投与Day 1,2,8,9, デキサメタゾン錠4 mg 20 mg 経口投与15,16,22,23Day 24~28 休薬
治療開始後、血清カルシウム値が12 mg/dL を超えたため、薬物を追加することとなった。追加する薬物の作用機序として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 骨芽細胞の副甲状腺ホルモン受容体を遮断する。副甲状腺ホルモン受容体を遮断する薬は高カルシウム血症の治療薬として用いられていません。
- ⑵ 副甲状腺細胞のカルシウム受容体を遮断する。シナカルセトなどは副甲状腺のカルシウム受容体を刺激してPTH分泌を抑えます。遮断すると逆に血清Caが上がります。
- ⑶ 破骨細胞のファルネシルピロリン酸合成酵素を阻害する。ゾレドロン酸などの窒素含有ビスホスホネートの作用で、破骨細胞の骨吸収を抑えて血清Caを下げます。
- ⑷ 骨芽細胞のRANKL(NF-κB 活性化受容体リガンド)の作用を阻害する。デノスマブはRANKLに結合して破骨細胞の形成・活性化を抑え、骨吸収を抑制して血清Caを下げます。
- ⑸ 小腸上皮細胞のビタミンD 受容体を活性化する。小腸のビタミンD受容体を活性化するとカルシウム吸収が増え、高カルシウム血症を悪化させます。
解説
正解は⑶と⑷です。多発性骨髄腫では骨破壊の亢進により高カルシウム血症が生じ、その治療には骨吸収を抑える薬を用います。ゾレドロン酸などの窒素含有ビスホスホネートは、破骨細胞のファルネシルピロリン酸合成酵素を阻害して破骨細胞の機能を抑えます。デノスマブは骨芽細胞などが産生するRANKLに結合し、破骨細胞の分化・活性化を抑えます。ほかにカルシトニンや輸液も併用されます。シナカルセトはカルシウム受容体を刺激する薬で、遮断薬ではない点も区別が必要です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成