この患者で薬物相互作用が懸念される抗てんかん薬の作用機序はどれか。2つ選べ。
68 歳男性。胸痛、咳嗽、発熱により救急外来を受診した。胸部X 線検査で肺炎像と胸水貯留が認められ、重症細菌性肺炎が疑われたため入院となり、以下の処方1 と処方2 で治療を開始することとなった。(入院時の身体所見及び検査値)身長165 cm、体重60 kg、体温39.5 ℃、呼吸25 回/分白血球18,000/μL、CRP 18.5 mg/dL、eGFR 80 mL/min/1.73 m²、SpO2 92%(処方1 )メロペネム点滴静注用1 g生理食塩液100 mL1 日3 回8:00、16:00、24:00 30 分かけて静脈内投与 3 日連日(処方2 )アセトアミノフェン静注液 1000 mg/100 mL(1 回500 mg 使用)1 日2 回 10:00、18:00 15 分かけて静脈内投与 3 日連日救急外来担当薬剤師がお薬手帳を確認したところ、てんかんの治療中であり、現在、バルプロ酸ナトリウム、レベチラセタム、ペランパネルを内服していることがわかった。
この患者で薬物相互作用が懸念される抗てんかん薬の作用機序はどれか。2つ選べ。
- ⑴ 炭酸脱水酵素を阻害して、神経細胞の過剰興奮を抑制する。炭酸脱水酵素阻害はアセタゾラミドやトピラマートの作用で、バルプロ酸の主な作用機序ではありません。
- ⑵ グルタミン酸AMPA 受容体を遮断して、シナプス後膜の興奮を抑制する。AMPA受容体遮断はペランパネルの作用で、メロペネムとの相互作用は問題になりません。
- ⑶ T 型Ca²⁺ チャネルを遮断して、シナプス後膜の興奮を抑制する。バルプロ酸はT型Ca²⁺チャネルを遮断し、欠神発作などにも有効性を示します。
- ⑷ シナプス小胞タンパク質(SV2A)と結合して、興奮性神経伝達物質の放出を抑制する。SV2Aへの結合はレベチラセタムの作用機序で、メロペネムとの相互作用は懸念されません。
- ⑸ GABA トランスアミナーゼを阻害して、シナプス間隙におけるGABA 量を増加させる。バルプロ酸はGABAトランスアミナーゼを阻害してGABAの分解を抑え、抑制性伝達を強めます。
解説
正解は⑶と⑸です。メロペネムとの相互作用が懸念されるのはバルプロ酸です。バルプロ酸はGABAトランスアミナーゼを阻害してGABAの分解を抑え、シナプス間隙のGABA量を増やします。さらに電位依存性Na⁺チャネルやT型Ca²⁺チャネルの遮断作用も併せもち、幅広い発作型に用いられます。炭酸脱水酵素阻害はアセタゾラミドやトピラマート、AMPA受容体遮断はペランパネル、SV2Aへの結合はレベチラセタムの作用機序です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成