処方2 の薬剤の服用によって生じる可能性が高いのはどれか。2つ選べ。
89 歳女性。体重40 kg。高血圧症及び慢性心不全に対して処方1 で薬物治療を行っている。独居で入院拒否があるため、医師と薬剤師、看護師が訪問している。最近、下腿浮腫が出現し、労作時の息苦しさや疲労感が強くなってきたため、血液検査を実施したところ、脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N 端フラグメント(NT-proBNP)値が3 ケ月前の450 pg/mL から下記の検査値になっていた。(処方1 )エナラプリルマレイン酸塩錠5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)ビソプロロールフマル酸塩錠0.625 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)アゾセミド錠60 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)スピロノラクトン錠50 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 14 日分(検査値)Na 141 mEq/L、K 4.8 mEq/L、eGFR 54 mL/min/1.73 m²、NT-proBNP 1,180 pg/mL※ なお、NT-proBNP 値900 pg/mL 以上は治療対象となる心不全の可能性が高い。その後、訪問医は継続中だった処方1 のうち、エナラプリルのみを中止して、新たに処方2 を追加した。(処方2 )サクビトリルバルサルタンNa 水和物錠50 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)1 日2 回 朝夕食後 7 日分
処方2 の薬剤の服用によって生じる可能性が高いのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 血中TSH 値の上昇本剤は甲状腺機能に影響しないため、血中TSH値の上昇は起こりにくいと考えられます。
- ⑵ 高カリウム血症ARBの作用でアルドステロンが抑えられ、スピロノラクトンとの併用で高カリウム血症を起こしやすくなります。
- ⑶ 血圧上昇本剤は降圧作用をもつため、起こりやすいのは血圧上昇ではなく血圧低下です。
- ⑷ 血中NT-proBNP 値の上昇NT-proBNPはネプリライシンで分解されないため本剤で上昇せず、心不全の改善に伴いむしろ低下します。
- ⑸ 脱水症状ナトリウム利尿ペプチドの作用増強による利尿で、ループ利尿薬併用中の高齢者では脱水が起こりやすくなります。
解説
正解は⑵と⑸です。サクビトリルバルサルタンはネプリライシン阻害とアンジオテンシンⅡ受容体遮断を併せもつ薬で、ナトリウム利尿ペプチドの作用を強めて降圧・利尿効果を示します。アルドステロン作用が抑えられるため、スピロノラクトン併用中の本患者では高カリウム血症に注意が必要です。また利尿作用が増強し、アゾセミドも服用しているため脱水が起こりやすくなります。NT-proBNPはネプリライシンの基質ではなく、心不全の改善とともに低下します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成