この症例に対する治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
35 歳男性。献血時の検査でヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体陽性となり、HIV 感染症と診断された。
この症例に対する治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ CD4 陽性リンパ球数が基準範囲内であっても、抗レトロウイルス療法が必要である。CD4陽性リンパ球数が基準範囲内であっても、すべての感染者にARTを行うことが推奨されています。
- ⑵ 抗レトロウイルス療法では、抗HIV 薬の単剤で治療を開始する。単剤では耐性ウイルスが出現しやすいため、ARTは通常3剤以上の多剤併用で開始します。
- ⑶ HIV-RNA 量が減少した場合には、抗HIV 薬を休薬する。HIV-RNA量が減少しても休薬するとウイルスが再増殖するため、ARTは継続する必要があります。
- ⑷ 免疫再構築症候群は、後天性免疫不全症候群(AIDS)やHIV 感染症の治療中にみられる炎症を主体とする病態である。免疫再構築症候群は、ARTによる免疫能の回復に伴い、日和見感染症などに対する炎症が強く現れる病態です。
- ⑸ 抗レトロウイルス療法を行っても、生命予後は改善しない。適切なARTによりAIDSの発症が抑えられ、生命予後は非感染者に近づくほど改善しています。
解説
正解は⑴と⑷です。現在のHIV感染症の治療指針では、CD4陽性リンパ球数にかかわらず、診断されたすべての感染者に抗レトロウイルス療法(ART)を早期に開始することが推奨されています。ARTは耐性ウイルスの出現を防ぐため、通常3剤以上を併用し、ウイルス量が検出限界未満になっても生涯継続します。免疫再構築症候群は、ART開始後に免疫能が回復する過程で潜在していた日和見感染症などに対する炎症反応が強く現れる病態です。適切なARTで生命予後は大きく改善しています。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成