息子と本人の意向が異なっているため、治療方針について、医師、看護師、薬剤師、メデ…
78 歳女性。大腸がんに対して、5 年前から化学療法が実施されていたが、副作用、本人の体力の低下から3 ヶ月前に中止となった。今回、食物摂取による誤嚥性肺炎のため入院となり、せん妄状態である。これまでも誤嚥性肺炎のための入院と退院を繰り返しており、1 ヶ月前から経口での食物摂取が困難となることが多く、家族が大変苦労していたとのことであった。患者は夫と死別しており、キーパーソンである一人息子が延命治療を望んでいる。持参薬等の所有物を確認したところ、患者本人が書いたリビングウィルの文書がお薬手帳に折り込まれていた。病状が末期の時には延命治療を希望しないという文章にチェックが入れられていた。文書作成の日付は、約2 年前であった。
息子と本人の意向が異なっているため、治療方針について、医師、看護師、薬剤師、メディカルソーシャルワーカーなどで構成された倫理コンサルテーションチームでカンファレンスを実施した。今後の対応として適切でないのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 息子にリビングウィルのことを知らせて、家族と医療スタッフの共通認識となるように再度治療方針を話し合う。適切な対応です。リビングウィルを家族と共有し、共通認識のもとで治療方針を話し合います。
- ⑵ リビングウィルの有無にかかわらず、治療を中止した場合の予後をキーパーソンである息子に理解しやすいように説明する。適切な対応です。治療を中止した場合の予後を、キーパーソンにわかりやすく説明します。
- ⑶ 意識が清明でなくなった時の治療選択について、本人が元気な頃に、何か話し合ったことはないかを息子に確認する。適切な対応です。本人の過去の発言から意思を推定するため、息子に確認します。
- ⑷ リビングウィルの作成年月日が入院時のものではなかったため、医療者の治療方針を優先させる。適切でない対応です。作成日が古くてもリビングウィルは本人の意思として尊重すべきで、医療者の方針を優先させません。
- ⑸ 終末期の治療について、何らかの意思表示がなかったか、かかりつけ薬局に確認をする。適切な対応です。かかりつけ薬局が本人の意思表示を把握している可能性があるため確認します。
解説
正解は⑷です。リビングウィルは本人が意思決定できるうちに示した治療に関する意思であり、作成日が入院時でないからといって無効になるわけではありません。本人の意思を推定する重要な手がかりとして尊重し、医療者の方針を一方的に優先させる対応は適切ではありません。そのほかの対応は適切で、息子にリビングウィルを知らせて共通認識を作り、治療中止時の予後をわかりやすく説明します。また本人が元気な頃に話していたことを息子に確認し、かかりつけ薬局にも意思表示の有無を問い合わせることが大切です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成