この患者への栄養補給に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
78 歳女性。大腸がんに対して、5 年前から化学療法が実施されていたが、副作用、本人の体力の低下から3 ヶ月前に中止となった。今回、食物摂取による誤嚥性肺炎のため入院となり、せん妄状態である。これまでも誤嚥性肺炎のための入院と退院を繰り返しており、1 ヶ月前から経口での食物摂取が困難となることが多く、家族が大変苦労していたとのことであった。患者は夫と死別しており、キーパーソンである一人息子が延命治療を望んでいる。持参薬等の所有物を確認したところ、患者本人が書いたリビングウィルの文書がお薬手帳に折り込まれていた。病状が末期の時には延命治療を希望しないという文章にチェックが入れられていた。文書作成の日付は、約2 年前であった。
この患者への栄養補給に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 胃瘻が選択肢となるのは、生命予後が1 ヶ月以上見込まれる場合である。胃瘻などの経腸栄養は、生命予後がおおむね1か月以上見込まれる場合に選択肢となります。
- ⑵ 中心静脈栄養を実施しても消化吸収機能が維持できる。中心静脈栄養では腸管を使わないため腸粘膜が萎縮し、消化吸収機能は低下します。
- ⑶ 中心静脈栄養は胃瘻よりも感染リスクが高い。中心静脈栄養はカテーテルを血管内に留置するため、胃瘻より血流感染のリスクが高くなります。
- ⑷ 胃瘻を造設すると、経口摂取に戻ることはできない。胃瘻を造設しても、嚥下機能が回復すれば経口摂取に戻ることができます。
- ⑸ せん妄状態であるので、経鼻栄養が適している。せん妄状態ではチューブの自己抜去や誤嚥の危険が高く、経鼻栄養が適しているとはいえません。
解説
正解は⑴と⑶です。日本の胃瘻造設に関する指針では、胃瘻などの経腸栄養は消化管が使え、生命予後がおおむね1か月以上見込まれる場合に選択肢となるとされています。中心静脈栄養はカテーテルを血管内に長期留置するため、カテーテル関連血流感染のリスクが胃瘻より高くなります。中心静脈栄養では腸管を使わないため、腸粘膜の萎縮が進み消化吸収機能は低下します。胃瘻を造設しても嚥下機能が回復すれば経口摂取に戻ることができ、せん妄状態では経鼻チューブの自己抜去の危険が高い点にも注意します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成