本症例に処方された製剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
76 歳男性。身長165 cm、体重70 kg。Ⅳ期非小細胞肺がんに対する2 次治療として、ドセタキセル + ラムシルマブ併用療法の1 コース目を施行したところ、7 日後に38 ℃の発熱がみられた。担当医は2 コース目(1 コース目施行3 週間後)を施行するにあたり、カンファレンスを実施した。そこで、ペグフィルグラスチム(遺伝子組換え)注射液について、病棟担当薬剤師に質問した。検査値(1 コース施行後7 日目)赤血球380 × 10⁴/μL、Hb 12.2 g/dL、Ht 39%白血球720/μL、好中球380/μL、血小板10.8 × 10⁴/μL、CRP 4.8 mg/dL薬剤 添加剤ドセタキセル注射液 ポリソルベート80、エタノールラムシルマブ注射液L-ヒスチジン、L-ヒスチジン塩酸塩水和物、グリシン、塩化ナトリウム、ポリソルベート80ペグフィルグラスチム注射液D-ソルビトール、氷酢酸、水酸化ナトリウムポリソルベート20
本症例に処方された製剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ ペグフィルグラスチムは、フィルグラスチムのバイオシミラー(バイオ後続品)である。ペグフィルグラスチムはPEG修飾により持続化させた新しい製剤で、フィルグラスチムのバイオ後続品ではありません。
- ⑵ ラムシルマブ注射液は、凍結を避けて冷蔵保存する。ラムシルマブは抗体医薬品で凍結により変性するおそれがあるため、凍結を避けて冷蔵保存します。
- ⑶ ペグフィルグラスチムは、メトキシポリエチレングリコール分子で修飾されていることにより、好中球及びその前駆細胞へ能動的ターゲティングされる。PEG修飾は分解や腎排泄を受けにくくして血中滞留性を高めるもので、能動的ターゲティングではありません。
- ⑷ ドセタキセル注射液には、アルコールによる過敏性反応を低減するためにポリソルベート80 が添加されている。ポリソルベート80は難溶性のドセタキセルを溶かす可溶化剤で、それ自体が過敏症の原因にもなります。
- ⑸ ペグフィルグラスチムは、フィルグラスチムに比べてプロテアーゼによる分解を受けにくい。PEGによる修飾で立体的に保護されるため、フィルグラスチムよりプロテアーゼで分解されにくくなります。
解説
正解は⑵と⑸です。ラムシルマブはヒト型の抗VEGFR-2モノクローナル抗体で、タンパク質のため凍結すると変性するおそれがあり、凍結を避けて2〜8℃で冷蔵保存します。ペグフィルグラスチムはポリエチレングリコールで修飾されたことで分子が大きくなり、プロテアーゼによる分解や腎臓からの排泄を受けにくくなって血中半減期が延びています。これは受動的な効果であり能動的ターゲティングではなく、本剤はバイオ後続品ではありません。ポリソルベート80は難溶性のドセタキセルを溶かす可溶化剤です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成