この患者への輸液等の投与に関する記述のうち、適切なのはどれか。1つ選べ。
56 歳男性。身長175 cm、体重52 kg。肝細胞がんに対し、腹腔鏡下肝切除術を施行後であり、末梢静脈輸液にて栄養管理している。現在、以下の輸液を1 日3 回末梢静脈から投与している。なお、本輸液はダブルバッグ製剤であり、成分が2 室に分けられている。術後2 日目の検査値より、カリウム製剤(L-アスパラギン酸カリウム注射液10 mEq/10 mL、1 アンプル)、及び静注用脂肪乳剤(イントラリポス輸液20%100 mL、1 バッグ)を追加することとなった。輸液:ビタミンB1・糖・電解質・アミノ酸液(500 mL 中にブドウ糖37.5 g、総遊離アミノ酸15 g、チアミン0.75 mg を含有)総カロリー量 210 kcal非タンパク質カロリー量 150 kcal非タンパク質カロリー / 窒素量(NPC/N)64(検査値:術後2 日目)白血球18,000/μL、赤血球200 × 10⁴/μL、Hb 8.7 g/dL、血小板30 × 10⁴/μL総タンパク7.5 g/dL、血清アルブミン3.3 g/dL、AST 27 IU/L、ALT 40 IU/L、BUN 20 mg/dL、血清クレアチニン0.7 mg/dL、Na 132 mEq/L、K 3.1 mEq/L、Cl 103 mEq/L
この患者への輸液等の投与に関する記述のうち、適切なのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 1 回500 mL あたり、30 分で投与する。本輸液は浸透圧が高く、500 mLを30分で投与するのは速すぎるため、通常120分以上かけます。
- ⑵ カリウム製剤は、ワンショットで静注する。カリウム製剤のワンショット静注は心停止を起こすおそれがあり禁忌で、必ず希釈して点滴します。
- ⑶ 本患者には、末梢静脈栄養のみで2 ヶ月以上管理することが推奨される。末梢静脈栄養は短期間の管理に用い、長期になる場合は中心静脈栄養や経腸栄養を検討します。
- ⑷ 静注用脂肪乳剤を追加することで、NPC/N 比を高めることができる。脂肪乳剤は窒素を含まず非タンパク質カロリーだけを増やすため、NPC/N比を高められます。
- ⑸ 血管痛が起こった場合は、全量投与した後に、漏出部位を処置する。血管痛や漏出が起きた場合は直ちに投与を中止して処置し、全量を投与してはいけません。
解説
正解は⑷です。NPC/N比は非タンパク質カロリーを窒素量で割った値で、脂肪乳剤はアミノ酸を含まず非タンパク質カロリーだけを増やすため、追加するとNPC/N比が高まり、アミノ酸がタンパク質合成に利用されやすくなります。本輸液は浸透圧が高く、500 mLあたり120分以上かけて投与し、30分では速すぎます。カリウム製剤は不整脈や心停止の危険があるためワンショット静注は禁忌です。末梢静脈栄養は短期間の管理に用い、2週間程度を超える場合は中心静脈栄養を検討し、血管痛や漏出時は直ちに中止します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成