この患者の治療に関して、病棟担当薬剤師が実務実習中の学生の指導を行うこととなった…
19 歳男性。身長 165 cm、体重 51 kg。以前より、右足の痛みと腫れがあり、1 ケ月前に父親とともに近所の整形外科を受診した。その2 週間後、医師は骨腫瘍を疑い、大学病院を紹介した。精査の結果、大腿骨遠位の骨肉腫と診断され、加療のため昨日入院となった。入院時の検査結果は以下のとおりである。(入院時の検査値)赤血球 520 × 10⁴/μL、Hb 14.3 g/dL、白血球 7,500/μL、好中球 3,100/μL、血小板 15.8 × 10⁴/μL、血清クレアチニン 0.86 mg/dL、BUN 16.0 mg/dL、AST 23 IU/L、ALT 22 IU/L、総ビリルビン 1.0 mg/dL検査の結果、化学療法は施行可能と判断され、明日から以下の MAP 療法を実施することとなった。(MAP 療法)投与量 投与スケジュールドキソルビシン塩酸塩注射用 30 mg/m²/day day 1,2シスプラチン注射液 120 mg/m²/day day 1メトトレキサート注射液 12 g/m²/day day 21,28*1 コースは 35 日間で、2 コース施行
この患者の治療に関して、病棟担当薬剤師が実務実習中の学生の指導を行うこととなった。薬剤師が実務実習生へ説明する内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ ドキソルビシン塩酸塩の総投与量が、500 mg/m² 以下であるのを確認すること。ドキソルビシンは累積量依存性の心毒性があるため、総投与量500 mg/m²以下の確認は適切です。
- ⑵ シスプラチンは冷蔵庫に保管すること。シスプラチン注射液は冷蔵すると結晶が析出するおそれがあり、室温で保管します。
- ⑶ シスプラチンの点滴時間が長時間に及ぶ場合には、遮光して投与すること。シスプラチンは光で分解されるため、長時間の点滴では遮光して投与するのは適切です。
- ⑷ メトトレキサートは、静脈内投与開始から 10 分以内に終了するのが望ましいこと。大量メトトレキサート療法では通常4〜6時間程度かけて点滴静注し、10分以内の投与は不適切です。
- ⑸ メトトレキサートの治療効果を高めるために、水分の摂取量を制限すること。メトトレキサートの腎排泄を促し腎障害を防ぐため、水分は十分に摂取させる必要があります。
解説
正解は⑴と⑶です。ドキソルビシンは累積投与量の増加に伴いうっ血性心不全などの心毒性が起こるため、総投与量が500 mg/m²以下であることを確認します。シスプラチンは光により分解されるため、点滴時間が長時間に及ぶ場合は遮光して投与します。またシスプラチンは低温で結晶が析出するおそれがあるため冷蔵保存しません。大量メトトレキサートは通常4〜6時間程度かけて点滴し、腎障害を防ぐため十分な補液と水分摂取を行い尿量を確保します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成