FOLFOX 療法に用いる薬物又はその活性代謝物のいずれかに関する記述として、正…
56 歳男性。体重72 kg。5 ヶ月程前、職場の健康診断で便潜血陽性を指摘され大学病院を受診した。検査の結果、S 状結腸がん(Stage Ⅲ)と診断された。約1 ヶ月後、S 状結腸切除術が施行された。その後、術後補助化学療法としてFOLFOX 療法(オキサリプラチン・レボホリナートカルシウム・フルオロウラシル)を入院にて導入することとなった。
FOLFOX 療法に用いる薬物又はその活性代謝物のいずれかに関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ チミジル酸合成酵素を阻害することで、DNA の合成を阻害する。フルオロウラシルの活性代謝物FdUMPはチミジル酸合成酵素を阻害し、DNA合成を阻害します。
- ⑵ ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害することで、活性型葉酸を枯渇させる。ジヒドロ葉酸還元酵素の阻害はメトトレキサートの作用機序で、FOLFOX療法の薬物ではありません。
- ⑶ プロテアソームを活性化することで、腫瘍細胞の増殖抑制及びアポトーシス誘導を示す。ボルテゾミブはプロテアソームを阻害する薬で、活性化する薬はFOLFOX療法に含まれません。
- ⑷ ジヒドロピリミジン脱水素酵素を活性化することで、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強する。DPDはフルオロウラシルを分解する酵素で、これを阻害すると効果が増強します。活性化ではありません。
- ⑸ フルオロデオキシウリジン一リン酸(FdUMP)及びチミジル酸合成酵素と複合体を形成することで、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強する。レボホリナート由来の還元型葉酸がFdUMPとチミジル酸合成酵素と三者複合体を作り、効果を増強します。
解説
正解は⑴と⑸です。フルオロウラシルは体内でフルオロデオキシウリジン一リン酸(FdUMP)となり、チミジル酸合成酵素を阻害してDNAの合成を妨げます。レボホリナートは体内で5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸となり、FdUMPおよびチミジル酸合成酵素と安定な三者複合体を作って阻害を持続させ、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強します。ジヒドロ葉酸還元酵素の阻害はメトトレキサート、プロテアソームの阻害はボルテゾミブの作用で、ジヒドロピリミジン脱水素酵素はギメラシルが阻害する酵素です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成