処方1 及び3 のいずれかの抗インフルエンザ薬の作用機序として、正しいのはどれか…
13 歳女児。身長150 cm、体重42 kg。昨夜から38.5 ℃の発熱があり、今朝になっても熱が下がらず、筋肉痛、頭痛、倦怠感を訴えたため、午前中に近医を受診した。インフルエンザと診断され、母親が処方箋(処方1 及び2 )を持って来局した。薬剤師が薬歴を確認したところ、バロキサビル マルボキシル錠による発疹の副作用歴があったので、薬剤師から処方医へ連絡し、処方1 が処方3 へ変更となった。(処方1 )バロキサビル マルボキシル錠20 mg 1 回2 錠(1 日2 錠)1 日1 回 夕食後 1 日分(処方2 )アセトアミノフェン錠200 mg 1 回2 錠発熱時 5 回分(10 錠)(処方3 )オセルタミビルカプセル75 mg 1 回1 カプセル(1 日2 カプセル)1 日2 回 朝夕食後 5 日分
処方1 及び3 のいずれかの抗インフルエンザ薬の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ RNA 依存性RNA ポリメラーゼを阻害することで、ウイルスRNA の複製を阻害する。RNA依存性RNAポリメラーゼの阻害はファビピラビルの作用機序で、処方薬に該当しません。
- ⑵ キャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性を阻害することで、ウイルスmRNAの合成を阻害する。バロキサビルはキャップ依存性エンドヌクレアーゼを阻害し、ウイルスmRNAの合成を阻害します。
- ⑶ ウイルスに結合してエンベロープの融合・脱壳を阻害することで、ウイルスRNA の宿主細胞への輸送を妨げる。脱殻の阻害はM2タンパク質に作用するアマンタジンの機序で、処方薬に該当しません。
- ⑷ ノイラミニダーゼを阻害することで、新しく形成されたウイルスの感染細胞からの遊離を抑制する。オセルタミビルはノイラミニダーゼを阻害し、新しいウイルスの感染細胞からの遊離を抑えます。
- ⑸ RNA 依存性DNA ポリメラーゼを阻害することで、ウイルスRNA からDNAへの逆転写を阻害する。RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)の阻害は抗HIV薬の機序で、インフルエンザ薬ではありません。
解説
正解は⑵と⑷です。処方1のバロキサビル マルボキシルは、体内で活性体のバロキサビルとなり、インフルエンザウイルスのキャップ依存性エンドヌクレアーゼを阻害して、宿主のmRNAからキャップ構造を切り取る過程を止め、ウイルスmRNAの合成を阻害します。処方3のオセルタミビルはノイラミニダーゼを阻害し、新しく作られたウイルスが感染細胞から遊離するのを抑えます。RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害はファビピラビル、脱殻阻害はアマンタジン、逆転写酵素阻害は抗HIV薬の機序です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成