この患者の呼吸器症状の原因となった病原体に関する記述として正しいのはどれか。2つ…
70 歳男性。体重65 kg。ループス腎炎と脳梗塞に対して、それぞれタクロリムスカプセルとワルファリン錠を服用していた。2 週間前から微熱、咳、痰、寝汗などが続き、昨日、痰に血が混じっていたため、不安を感じて病院を受診した。胸部CT 検査で両側に空洞化を伴う多発性浸潤陰影を認め、喀痰の塗抹検査で病原体が検出されたため、入院し、直接服薬確認療法(DOTS)が行われることとなった。(入院時の検査値)AST 26 IU/L、ALT 27 IU/L、血清クレアチニン1.8 mg/dL、血清アルブミン3.6 g/dL、総ビリルビン0.7 mg/dL
この患者の呼吸器症状の原因となった病原体に関する記述として正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 体内に侵入後、肺胞マクロファージ内で増殖する。結核菌は肺胞マクロファージに貪食されても殺菌を免れ、その中で増殖します。
- ⑵ 本病原体による感染を予防するためにBCG ワクチンが用いられている。結核の予防には生ワクチンであるBCGが乳児期に接種されています。
- ⑶ 蚊などの節足動物が媒介することで感染する。結核は飛沫核による空気感染で広がり、蚊などの節足動物は媒介しません。
- ⑷ 2010 年頃から罹患率が上昇しているため新興感染症に位置付けられている。結核は一度減少したのち再び問題となった再興感染症に位置づけられています。
- ⑸ 近年、我が国における罹患率は、米国やドイツなどの先進国における罹患率に比べて低い。日本の結核罹患率は低下傾向にあるものの、米国やドイツなどより高い水準です。
解説
正解は⑴と⑵です。咳や痰、微熱、寝汗が続き、空洞を伴う浸潤影と喀痰塗抹陽性からDOTSが行われていることから、病原体は結核菌です。結核菌は飛沫核として吸入されると肺胞マクロファージに取り込まれ、その中で殺菌を免れて増殖します。予防には乳児期にBCGワクチンが接種されます。結核は空気感染する疾患で節足動物は媒介せず、過去に減少したのち再び問題となった再興感染症に位置づけられます。日本の罹患率は米国やドイツなどの先進国より依然として高い水準にある点も重要です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成