この患者の病態と治療に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
50 歳男性。身長170 cm、体重81 kg(BMI 28)。特に自覚症状は無く服薬歴もなかったが、健康診断で血圧が高いことを指摘された。家庭での血圧自己測定においても、連日140/90 mmHg 台と高く推移していたため受診した。診察室での血圧は146/92 mmHg、心拍68 拍/分(整)で、その他特記すべき異常所見は認められなかった。その後の複数回の受診時の血圧も同様に高く、Ⅰ度高血圧と診断された。飲酒は毎日缶ビール(350 mL)1 本程度で、喫煙歴はない。しばらく生活習慣の改善を試みたが、診察室・家庭血圧ともに降圧はほとんど認められなかったため、薬物療法を開始することになった。
この患者の病態と治療に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 頻脈が認められる。心拍数は68拍/分で正常範囲にあり、頻脈は認められません。
- ⑵ 肥満は認められない。BMIが25以上は肥満と判定されるため、BMI 28のこの患者は肥満です。
- ⑶ 白衣高血圧と仮面高血圧の可能性は、いずれも否定できる。診察室血圧と家庭血圧がともに高値なので、白衣高血圧と仮面高血圧はいずれも否定できます。
- ⑷ 食塩摂取量は9 g/日未満が理想である。出題当時の高血圧治療ガイドラインでは、食塩摂取量の目標は6 g/日未満とされています。
- ⑸ 降圧薬の投与にあたっては、単剤を低用量から開始する。Ⅰ度高血圧の薬物療法は、副作用を避けるため単剤の低用量から開始するのが原則です。
解説
正解は⑶と⑸です。この患者は診察室血圧と家庭血圧がともに高値であるため、診察室だけ高い白衣高血圧や、診察室以外で高い仮面高血圧の可能性は否定でき、持続性高血圧と考えられます。降圧薬は副作用を避けるため、原則として単剤の低用量から開始します。心拍数は68拍/分で頻脈ではなく、BMI 28は日本の基準で肥満にあたります。高血圧治療ガイドライン2019(出題当時)では食塩摂取量の目標は6 g/日未満とされており、9 g/日未満ではない点にも注意します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成