この化学療法で用いられた医薬品のうち、この患者が訴えた症状を引き起こす可能性のあ…
60 歳男性。息切れ、倦怠感が継続するため検査したところ、フィラデルフィア染色体陰性の急性リンパ性白血病と診断され、以下の化学療法を施行した。担当薬剤師が患者から「手や足がピリピリとしびれ、物がつかみづらい」との訴えを受け、副作用が疑われた。医薬品名・投与量 投与経路・投与時間 投与日シクロホスファミド水和物注射用点滴静注(3 時間) 1 日目1,200 mg/m² + 生理食塩液250 mLダウノルビシン塩酸塩注射用60 mg/m² +点滴静注(1 時間) 1 日目生理食塩液100 mLビンクリスチン硫酸塩注射用1.3 mg/m²点滴静注(10 分) 8 、15、22 日目+ 生理食塩液50 mLL-アスパラギナーゼ注射用3,000 IU/m² + 9 、11、13、16、点滴静注(2 時間)5 %ブドウ糖注射液500 mL ― 18、20 日目1 ~21 日目以後プレドニゾロン錠60 mg/m²(1 日量) 1 日2 回 朝昼食後漸減
この化学療法で用いられた医薬品のうち、この患者が訴えた症状を引き起こす可能性のあるのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ シクロホスファミドシクロホスファミドの主な副作用は骨髄抑制や出血性膀胱炎で、手足のしびれは代表的ではありません。
- ⑵ ダウノルビシンダウノルビシンの主な副作用は骨髄抑制や心毒性で、末梢神経障害は代表的ではありません。
- ⑶ ビンクリスチンビンクリスチンは微小管阻害により末梢神経障害を起こし、手足のしびれの原因となります。
- ⑷ L-アスパラギナーゼL-アスパラギナーゼの主な副作用は過敏症、膵炎、凝固異常などで、末梢神経障害は代表的ではありません。
- ⑸ プレドニゾロンプレドニゾロンの主な副作用は高血糖や感染症などで、末梢神経障害は代表的ではありません。
解説
正解は⑶です。ビンクリスチンはビンカアルカロイド系の抗悪性腫瘍薬で、微小管の重合を阻害して細胞分裂を止めますが、神経細胞の軸索輸送に関わる微小管にも作用するため、末梢神経障害を起こしやすい薬です。手足のしびれや物がつかみにくいといった感覚・運動障害、便秘やイレウスなどの自律神経障害が現れます。1回投与量の上限があり、症状に応じて減量や中止を検討します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成