この患者は入院してR-CHOP 療法を施行することになった。R-CHOP 療法薬…
62 歳男性。身長161 cm、体重58 kg。半年ほど前から腋窩のしこりに気づいていたが、徐々に増大してきた。1 ヶ月前よりだるさと38 ℃の発熱が継続し、朝起きたときに下着が濡れているほどの汗をかくようになった。体重も減少してきたため、心配になって病院を受診した。患者の検査値等は以下のとおりである。(検査値及び所見)AST 51 IU/L、ALT 38 IU/L、LDH 2,543 IU/L、γ-GTP 224 IU/L、血清クレアチニン値1.62 mg/dL、尿酸8.4 mg/dL、血清Na 136 mEq/L、血清K 4.5 mEq/L、血清Ca 10.0 mg/dL、血清P 3.0 mmol/L、血清アルブミン4.0 g/dL、HbA1c 5.8%(NSGP 値)、白血球数15,000/μL、赤血球数250 × 10⁴/μL、Ht 35%、腋窩の腫瘍径は5 cm精査の結果、悪性リンパ腫と診断されたが、リンパ節生検でリード・ステルンベルグ(Reed-Sternberg)細胞などの巨細胞は確認されなかった。
この患者は入院してR-CHOP 療法を施行することになった。R-CHOP 療法薬物名・投与量 Day 1 Day 2-5リツキシマブ375 mg/m² 〇ドキソルビシン50 mg/m² 〇ビンクリスチン1.4 mg/m² 〇シクロホスファミド750 mg/m² 〇プレドニゾロン30 mg/body 〇 〇治療を開始する前の薬剤師の対応として、適切でないのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ ラスブリカーゼの投与を提案する。腫瘍量が多く尿酸も高いため、腫瘍崩壊症候群予防としてラスブリカーゼを提案するのは適切です。
- ⑵ 血糖測定を提案する。プレドニゾロンで高血糖が起こるおそれがあり、HbA1c も高めなので血糖測定の提案は適切です。
- ⑶ B 型肝炎ウイルスへの感染の有無を確認する。リツキシマブは B 型肝炎ウイルスを再活性化させるおそれがあるため、感染の有無の確認は適切です。
- ⑷ ビンクリスチンの累積投与量が上限を超えないことを確認する。ビンクリスチンには累積投与量の上限はなく、累積量の確認が必要なのはドキソルビシンです。
- ⑸ 心不全がないことを確認する。ドキソルビシンは心毒性があるため、治療前に心不全がないことを確認するのは適切です。
解説
正解は⑷です。ビンクリスチンは1回投与量の上限(通常2 mg)が定められていますが、累積投与量の上限は設定されていません。累積投与量の確認が必要なのは、心毒性のあるドキソルビシンなどのアントラサイクリン系薬です。治療前には、腫瘍崩壊症候群の予防としてラスブリカーゼを提案し、プレドニゾロンによる高血糖、リツキシマブによる B 型肝炎の再活性化、ドキソルビシンの心毒性に備えた確認を行います。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成