薬剤師がこの患者のテオフィリン中毒の要因と考えた内容として、最も適切なのはどれか…
48 歳男性。気管支ぜん息の既往があり、処方1 及び処方2 の薬剤を継続して使用している。この患者はテオフィリンの治療薬物モニタリング(TDM)を実施しており、定常状態の血中濃度は15 μg/mL であった。しかしここ数日、腹痛や吐き気が強く、今日は仕事も休んでいるとかかりつけ薬剤師に相談があった。聴き取りにより2 日前からピロリ菌の除菌療法(処方3 )をしていることが判明した。速やかにかかりつけ医を受診するように指示し、当該医師にも連絡を取った。その後、この患者について、受診時のテオフィリンの血中濃度が40 μg/mL であることを医師に確認した。なお、アドヒアランスは良好であることを確認している。(処方1 )ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入液 1 回2 吸入1 日2 回 朝食後・就寝前 7 日分(処方2 )テオフィリン徐放錠200 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)1 日2 回 朝食後・就寝前 7 日分(処方3 )ボノプラザン錠20 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)アモキシシリンカプセル250 mg 1 回3 カプセル(1 日6 カプセル)クラリスロマイシン錠200 mg 1 回2 錠(1 日4 錠)1 日2 回 朝夕食後 7 日分
薬剤師がこの患者のテオフィリン中毒の要因と考えた内容として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ ピロリ菌の除菌療法による胃内環境の変化除菌療法による胃内環境の変化が、テオフィリン血中濃度を大きく上げることは考えにくいです。
- ⑵ ボノプラザンによる胃内pH の上昇胃内 pH の上昇でテオフィリンの吸収が大きく変化し、中毒を起こすことは考えにくいです。
- ⑶ 腎薬物トランスポーターを介したアモキシシリンとの競合阻害テオフィリンは主に肝代謝で消失し、アモキシシリンとの腎トランスポーターでの競合は問題になりません。
- ⑷ クラリスロマイシンによる肝薬物代謝酵素阻害クラリスロマイシンが肝の薬物代謝酵素を阻害し、テオフィリンの代謝が低下して血中濃度が上昇しました。
- ⑸ ぜん息症状によるテオフィリン感受性の増大血中濃度が40 μg/mL と中毒域に上昇しており、感受性の変化ではなく濃度上昇が原因です。
解説
正解は⑷です。除菌療法を始めてから2日後にテオフィリンの血中濃度が15 μg/mL から40 μg/mL に上昇し、腹痛や吐き気などの中毒症状が出ています。クラリスロマイシンは肝の薬物代謝酵素 CYP3A4 を強く阻害し、テオフィリンの代謝を妨げて血中濃度を上昇させることが知られています。アドヒアランスは良好で、ボノプラザンやアモキシシリンにはテオフィリンの濃度を大きく上げる相互作用はありません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成