この患者に追加された処方4 の薬物の作用として、適切なのはどれか。1つ選べ。
62 歳男性。3 年前、階段を昇る時に息切れを感じるようになり受診したところ、左室肥大と肺うっ血を認め、慢性心不全と診断された。処方1 ~処方3 で治療されていたが、慢性心不全の増悪により入院した。その後、処方4 を追加して病態が安定したため、退院することになった。現在の検査値等は以下のとおりである。(検査値)血圧120/82 mmHg、心拍数84 拍/分、AST 24 IU/L、ALT 16 IU/L、BUN 18 mg/dL、血清クレアチニン値0.9 mg/dL、Na 145 mEq/L、K 2.9 mEq/L、Cl 102 mEq/L、血清BNP 410 pg/mL、左室駆出率EF 33%(処方1 )エナラプリルマレイン酸塩錠10 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 30 日分(処方2 )ビソプロロールフマル酸塩錠2.5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 30 日分(処方3 )フロセミド錠40 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 30 日分(処方4 )エプレレノン錠25 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 30 日分
この患者に追加された処方4 の薬物の作用として、適切なのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 心臓のアドレナリン β1 受容体を遮断して、BNP 値を低下させる。β1 受容体を遮断するのは処方2 のビソプロロールの作用です。
- ⑵ アンジオテンシン変換酵素を阻害して、心筋の線維化を抑制する。アンジオテンシン変換酵素を阻害するのは処方1 のエナラプリルの作用です。
- ⑶ 心筋に直接作用して心収縮力を高めて、左室駆出率を改善する。エプレレノンには心筋に直接作用して収縮力を高める強心作用はありません。
- ⑷ ヘンレ係蹄上行脚においてNa⁺ とCl⁻ の再吸収を抑制して、むくみを改善する。ヘンレ係蹄上行脚で Na⁺ と Cl⁻ の再吸収を抑えるのは処方3 のフロセミドの作用です。
- ⑸ 遠位尿細管及び集合管においてアルドステロン受容体を遮断して、尿中へのK⁺ の排泄を抑制する。エプレレノンはアルドステロン受容体を遮断し、尿中への K⁺ 排泄を抑制します。
解説
正解は⑸です。処方4 のエプレレノンは選択的なアルドステロン受容体(鉱質コルチコイド受容体)拮抗薬で、遠位尿細管や集合管でアルドステロンの作用を遮断し、Na⁺ の再吸収と K⁺ の排泄を抑えます。心臓や血管でのアルドステロンによる線維化も抑えるため、慢性心不全の予後改善に用いられます。ほかの選択肢は、β1 遮断薬、ACE 阻害薬、強心薬、ループ利尿薬の作用です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成