この中毒の原因となった物質の解毒にはたらく生体分子はどれか。1つ選べ。
12 月に行われた少年スポーツクラブの大会で、金属製のやかんを使って、粉末のスポーツドリンクを水道水で溶かし、そのスポーツドリンクを飲んだ子供たちが吐き気や嘔吐を発症した。8 人の患者が近医を受診し、血液検査及び便検査を行った。血液検査の結果、血清中の亜鉛濃度90~101 μg/dL(正常値;80~130 μg/dL)、銅濃度278~314 μg/dL(正常値;70~132 μg/dL)、セレン濃度11.2~13.2 μg/dL(正常値;10.6~17.4 μg/dL)の範囲であり、他の重金属や中毒物質は検出されなかった。また、便検査の結果、食中毒の原因と考えられる細菌及びウイルスは検出されなかった。一方、後日、やかんに残っていたスポーツドリンクを衛生研究所で分析したところ、以下のようなイオンが検出された。ナトリウム520 mg/L、カリウム214 mg/L、カルシウム22 mg/L、マグネシウム6 mg/L、銅200 mg/L
この中毒の原因となった物質の解毒にはたらく生体分子はどれか。1つ選べ。
- ⑴ カタラーゼカタラーゼは過酸化水素を分解する酵素で、銅の解毒に働く分子ではありません。
- ⑵ グルタチオンペルオキシダーゼグルタチオンペルオキシダーゼは過酸化物を還元する酵素で、銅を直接結合して解毒するものではありません。
- ⑶ シトクロムP450シトクロム P450 は有機化合物の酸化的代謝を担う酵素で、金属の解毒には関与しません。
- ⑷ メタロチオネインメタロチオネインは SH 基で銅などの重金属と結合し、その毒性を軽減します。
- ⑸ ビリルビンビリルビンはヘムの分解産物で、抗酸化作用はありますが銅の解毒分子ではありません。
解説
正解は⑷です。メタロチオネインはシステイン残基を多く含む低分子量の金属結合タンパク質で、その SH 基で銅、亜鉛、カドミウム、水銀などの重金属と強く結合し、毒性を軽減します。重金属に曝露されると肝臓や腎臓などでその合成が誘導されます。カタラーゼやグルタチオンペルオキシダーゼは活性酸素の消去に、シトクロム P450 は薬物などの酸化的代謝に関わる分子です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成