この患者のがんが遺伝性である場合、原因となり得る遺伝子として最も適切なのはどれか…
51 歳男性。2 年前にStage Ⅳの直腸がんと診断され、抗がん剤による治療が開始された。現在、四次治療中で、医師からがん遺伝子パネル検査※を提案された。「がんの多い家系であり、がんが遺伝であることがはっきりするのは不安で、がん遺伝子パネル検査を受けることについて悩んでいる。」と、担当薬剤師に相談があった。そこで、薬剤師は、認定遺伝カウンセラーに相談することを勧めた。※ ヒトの遺伝子のうち、がんの発生に関わる遺伝子セット(パネル)を一度に解析する検査。同定された遺伝子変異に効果のある抗がん剤が存在すれば、治療に用いることができる。
この患者のがんが遺伝性である場合、原因となり得る遺伝子として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ APCAPC遺伝子の生殖細胞系列変異は家族性大腸腺腫症の原因となり、遺伝性大腸がんの原因遺伝子です。
- ⑵ BCR-ABLBCR-ABLは慢性骨髄性白血病で後天的な染色体転座により生じる融合遺伝子で、遺伝性ではありません。
- ⑶ BRCA1BRCA1は主に遺伝性乳がん卵巣がん症候群の原因遺伝子で、大腸がんとの関連は強くありません。
- ⑷ EGFREGFRの変異は肺がんなどで後天的に生じる体細胞変異で、遺伝性がんの原因としては一般的ではありません。
- ⑸ PTENPTENはカウデン症候群などの原因遺伝子で、遺伝性大腸がんの原因としては選択肢の中で最も適切とはいえません。
解説
正解は⑴です。APC遺伝子はがん抑制遺伝子で、生殖細胞系列に変異があると大腸に多数のポリープができる家族性大腸腺腫症を起こし、放置するとほぼ全例が大腸がんになります。この患者は直腸がんで、がんの多い家系であることから、遺伝性の大腸がんの原因となり得る遺伝子として選択肢の中で最も適切です。BCR-ABLとEGFRは後天的な体細胞変異で生じるもの、BRCA1は遺伝性乳がん卵巣がん、PTENはカウデン症候群の原因遺伝子です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198923.html)を加工して作成