この疾病及び病因物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
5 歳男児。身長105 cm、体重21 kg。4 日前から下痢が続いており、腹痛を伴う血便が見られた。さらに顔色が悪く、排尿がないことに母親が気づき救急病院を受診した。母親に聴取したところ、7 日前に家族で焼肉を食べに行き、両親及び兄も軽い下痢を呈していることが分かった。主治医は、血液検査結果をふまえ、溶血性尿毒症症候群(HUS)と診断した。体温37.3 ℃、脈拍120/分、血圧125/70 mmHg、呼吸数24/分。尿所見:蛋白(2+)、ケトン体(1+)、潜血(3+)。
この疾病及び病因物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 75 ℃、1 分間以上の加熱で死滅する。腸管出血性大腸菌は75℃で1分間以上の加熱で死滅します。
- ⑵ ヒトからヒトへの感染は起こらない。腸管出血性大腸菌は少量の菌で感染するため、ヒトからヒトへの二次感染も起こります。
- ⑶ この疾病の予防には、トキソイドワクチンの接種が推奨されている。腸管出血性大腸菌感染症の予防に用いるトキソイドワクチンはありません。
- ⑷ 牛の肝臓には、この病因物質が存在する可能性があるため、生食用として販売・提供することは食品衛生法で禁止されている。牛の肝臓の内部から腸管出血性大腸菌が検出されることがあり、生食用の販売・提供は食品衛生法で禁止されています。
- ⑸ 2015~2019 年における病因物質別食中毒発生件数で最も多いのは、この病因物質によるものである。2015〜2019年の病因物質別の発生件数では、カンピロバクターやアニサキスが多く、腸管出血性大腸菌は最多ではありません。
解説
正解は⑴と⑷です。病因物質は腸管出血性大腸菌(O157など)と考えられ、75℃で1分間以上の加熱で死滅するため、肉の中心部まで十分に加熱することが予防の基本です。牛の肝臓の内部からも検出されることがあるため、2012年から食品衛生法で生食用としての販売・提供が禁止されています。少量の菌でも感染するため、家族内などでヒトからヒトへの二次感染も起こります。ワクチンはなく、食中毒の発生件数ではカンピロバクターやアニサキスの方が多いです。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198923.html)を加工して作成