64歳の男性。切除できない大腸がんで、イリノテカンを含む化学療法を始めることにな…
64歳の男性。切除できない大腸がんで、イリノテカンを含む化学療法を始めることになり、投与前に肝臓の抱合酵素の遺伝子検査が行われた。イリノテカンの作用と、この検査を行う理由として、正しいのはどれか。
- ⑴ 活性代謝物がトポイソメラーゼⅡを阻害し、その活性代謝物は硫酸抱合で不活性化されるため、硫酸抱合能の低い人では心毒性が強く出やすい。トポイソメラーゼⅡを阻害するのはエトポシドなどで、イリノテカンの不活性化は主にグルクロン酸抱合によります。
- ⑵ チミジル酸合成酵素を阻害してDNAの合成を妨げ、ジヒドロピリミジン脱水素酵素で分解されるため、その酵素の働きが強い人では効果が弱まる。チミジル酸合成酵素を阻害し、その分解酵素が問題になるのはフルオロウラシルです。
- ⑶ DNAの塩基をアルキル化して複製を止め、その活性化にはシトクロムP450による酸化が必要なため、酵素の働きが強い人では出血性膀胱炎が出やすい。肝臓での酸化を経て活性化され膀胱炎を起こすのは、シクロホスファミドです。
- ⑷ チューブリンに結合して微小管の重合を妨げ、肝臓でアセチル化されて排泄されるため、アセチル化の遅い人では末梢神経障害が出やすい。微小管の重合を妨げて神経障害を起こすのはビンクリスチンなどで、作用も代謝の経路も異なります。
- ⑸ 活性代謝物がトポイソメラーゼⅠを阻害し、その活性代謝物はグルクロン酸抱合で不活性化されるため、抱合能の低い人では副作用が強く出やすい。活性代謝物を抱合する酵素の働きが遺伝的に弱いと、好中球減少や下痢が重くなりやすいため検査します。
解説
正解は⑸です。イリノテカンは体内でカルボキシエステラーゼにより活性代謝物に変わり、トポイソメラーゼⅠを阻害してDNAの複製を妨げます。活性代謝物は肝臓でグルクロン酸抱合を受けて不活性化されますが、この抱合酵素の遺伝子多型により働きが弱い人では活性代謝物が蓄積し、重い好中球減少や下痢が起こりやすくなります。そのため投与前に遺伝子検査を行い、投与量の判断に役立てます。
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