64歳の男性。慢性心不全でエナラプリルを服用していたが、サクビトリルとバルサルタ…
64歳の男性。慢性心不全でエナラプリルを服用していたが、サクビトリルとバルサルタンの配合錠に切り替えることになった。医師から、エナラプリルの最後の服用から36時間以上あけてから始めるよう指示があった。この指示の理由として、正しいのはどれか。
- ⑴ サクビトリルがアンジオテンシンⅡ受容体を遮断するため、エナラプリルと重なると血清カリウムが急激に低下する。アンジオテンシンⅡ受容体を遮断するのはバルサルタンで、この系を抑えると血清カリウムはむしろ上がります。
- ⑵ 両薬は小腸の同じ輸送体で吸収されるため、続けて服用すると互いの吸収を妨げてどちらも効かなくなる。間隔をあけるのは吸収の競合のためではなく、ブラジキニンの増加による血管浮腫を避けるためです。
- ⑶ サクビトリルがネプリライシンを阻害してブラジキニンの分解も抑えるため、エナラプリルと重なると血管浮腫が起こりやすい。ブラジキニンを分解する2つの酵素が同時に抑えられると、ブラジキニンが増えて血管浮腫の危険が高まります。
- ⑷ ネプリライシンを阻害するとナトリウム利尿ペプチドの分解が速まり、エナラプリルの降圧作用が打ち消される。ネプリライシンを阻害するとナトリウム利尿ペプチドの分解は遅くなり、その作用が強まります。
- ⑸ エナラプリルは消失半減期が1週間ほどと長いため、作用が残っている間は配合錠の効果が判定できない。エナラプリルの活性体の作用はおよそ1日程度で、間隔をあける理由は効果判定ではなく血管浮腫の予防です。
解説
正解は⑶です。サクビトリルの活性体はネプリライシンを阻害してナトリウム利尿ペプチドの分解を抑え、利尿と血管拡張の作用を強めます。ネプリライシンはブラジキニンの分解にも関わるため、ブラジキニンを分解するアンジオテンシン変換酵素の阻害薬と同時に作用すると、ブラジキニンが増えて血管浮腫の危険が高まります。そのため、切り替えの際は36時間以上の間隔をあけ、両者の併用は禁忌とされています。
当サービスが作成したオリジナル問題です。実際の試験問題ではありません。