70歳の男性。若いころに染料の原料を扱う工場で長く働いていた。最近、痛みのない血…
70歳の男性。若いころに染料の原料を扱う工場で長く働いていた。最近、痛みのない血尿が出て、膀胱がんと診断された。この男性が扱っていたベンジジンなどの芳香族アミンが、膀胱で発がん性を示すまでの過程として、最も適切なのはどれか。
- ⑴ 肝臓でN-水酸化と抱合を受けて膀胱へ運ばれ、尿の中で生じた反応性の高い物質がDNAに結合する。代謝活性化を受けた物質が抱合体として運ばれ、膀胱で再び活性化されてDNAを傷つけます。
- ⑵ 皮膚に付着した物質が紫外線を吸収してラジカルを生じ、皮膚の細胞のDNAを傷つける。芳香族アミンの発がんの標的は膀胱で、紫外線によるラジカルの生成は主な過程ではありません。
- ⑶ 肝臓で抱合されて解毒され、腸管から便として排泄される間に、大腸の粘膜に作用する。芳香族アミンによるがんは膀胱に多く、尿の中で活性体が生じることが関わります。
- ⑷ 代謝を受けずにそのまま膀胱の上皮に作用し、細胞の増殖を促すプロモーターとして働く。芳香族アミンは代謝活性化を受けて初めて発がん性を示す間接発がん物質です。
- ⑸ 体内でエポキシドに変えられたのち、グルタチオン抱合でさらに反応性が高まってDNAに結合する。グルタチオン抱合はエポキシドなどを解毒する反応で、反応性を高めるものではありません。
解説
正解は⑴です。芳香族アミンは、肝臓のシトクロムP450でN-水酸化を受けて活性化され、グルクロン酸抱合などを受けて尿中へ運ばれます。膀胱の中の酸性の尿で抱合体が分解されると、反応性の高い物質が生じてDNAの塩基に結合し、膀胱がんを起こします。このように代謝活性化を経て発がん性を示す物質を間接発がん物質といい、臓器による発がんの起こりやすさには代謝と排泄の経路が関わります。
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