水に溶けない基剤の中に薬物を分散させたマトリックス型の徐放錠では、放出された薬物…
水に溶けない基剤の中に薬物を分散させたマトリックス型の徐放錠では、放出された薬物の累積量が、時間の平方根にほぼ比例して増えていく。このような放出のしかたになる理由として、正しいのはどれか。
- ⑴ 内部に入った水で浸透圧が上がり、小さな孔から一定の速さで薬物が押し出されるため、放出の速さが変わらない。これは浸透圧を利用した製剤のふるまいで、放出量は時間に比例して増えます。
- ⑵ 基剤が表面から一定の速さで溶けて薄くなり、溶けた部分の薬物が放出されるため、しだいに放出が速まる。水に溶けない基剤では表面が溶けていくことはなく、浸食による放出の説明は当てはまりません。
- ⑶ 表面に近い薬物から溶け出し、溶け出したあとの通り道が長くなっていくため、時間とともに放出が遅くなる。基剤の中を拡散する距離がしだいに延びるため、放出の速さが落ちて時間の平方根に比例する形になります。
- ⑷ 膜の内側の薬物が飽和濃度に保たれ、膜を通る拡散が一定の速さで続くため、放出の速さが変わらない。これはリザーバー型の製剤のふるまいで、放出量は時間に比例して増えます。
- ⑸ 薬物が基剤と共有結合していて、加水分解で切れた分の薬物が少しずつ放出されるため、放出がしだいに速まる。共有結合を切って放出させる設計はこの製剤の仕組みではなく、放出は拡散で決まります。
解説
正解は⑶です。水に溶けない基剤の中に薬物を分散させたマトリックス型の製剤では、まず表面に近い薬物が溶け出し、そのあとは基剤の内部へ入り込んだ液の中を薬物が拡散して出ていきます。溶け出した部分が広がるほど拡散の距離が長くなるため、放出の速さはしだいに落ち、累積の放出量は時間の平方根に比例します。これを樋口の式といいます。膜を通るリザーバー型や浸透圧を利用した製剤では、一定の速さで放出されます。
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