アルツハイマー型認知症と診断された78歳の女性に、ドネペジルの服用が始まった。家…
アルツハイマー型認知症と診断された78歳の女性に、ドネペジルの服用が始まった。家族から薬の働きについて質問を受けた。ドネペジルの作用のしくみとして、正しいのはどれか。
- ⑴ 脳内のムスカリン受容体を遮断し、アセチルコリンの過剰な働きを抑えて興奮を鎮める。ムスカリン受容体の遮断は認知機能を悪くする方向に働き、ドネペジルとは逆の作用です。
- ⑵ 脳内のアセチルコリンエステラーゼを可逆的に阻害し、アセチルコリンの分解を抑えて神経の伝達を高める。認知機能に関わるコリン作動性神経の伝達を高めることで、症状の進行を緩やかにします。
- ⑶ 脳内にたまったアミロイドβの凝集体に結合し、それを取り除いて神経細胞の減少を食い止める。アミロイドβの凝集体に結合して除くのは抗体医薬の作用で、ドネペジルの機序ではありません。
- ⑷ 脳内のモノアミン酸化酵素Bを阻害し、ドパミンの分解を抑えて神経の伝達を高める。モノアミン酸化酵素Bの阻害はセレギリンなどパーキンソン病の治療薬の作用です。
- ⑸ 脳内のN-メチル-D-アスパラギン酸型グルタミン酸受容体を遮断し、過剰な刺激による神経の障害を防ぐ。この受容体を遮断するのはメマンチンの作用で、ドネペジルの機序とは異なります。
解説
正解は⑵です。アルツハイマー型認知症では、記憶や学習に関わるコリン作動性神経が減り、脳内のアセチルコリンが不足します。ドネペジルはアセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼを可逆的に阻害し、シナプスでのアセチルコリンの量を増やして神経の伝達を高めます。病気そのものの進行を止める薬ではなく、症状の進み方を緩やかにする目的で用います。吐き気や下痢、徐脈などの副作用に注意します。
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