統合失調症の45歳の男性。ハロペリドールの服用を始めて3週間後から、手のふるえと…
統合失調症の45歳の男性。ハロペリドールの服用を始めて3週間後から、手のふるえと動作の遅さ、表情の乏しさが目立つようになった。この症状が現れたしくみとして、最も適切なのはどれか。
- ⑴ 中脳から辺縁系へ向かう経路のセロトニン受容体が刺激され、神経の興奮が高まって手のふるえが出た。ハロペリドールはセロトニン受容体を刺激する薬ではなく、症状の主因は線条体でのドパミン遮断です。
- ⑵ 線条体のドパミンD2受容体が遮断され、運動の調節が乱れて薬剤性のパーキンソン症状が出た。抗精神病薬による線条体のD2受容体遮断は、ふるえや動作緩慢などの錐体外路症状を起こします。
- ⑶ 延髄の化学受容器引き金帯のドパミン受容体が刺激され、吐き気とともに全身の筋の緊張が高まった。ハロペリドールはドパミン受容体を遮断する薬で、引き金帯では吐き気を抑える方向に働きます。
- ⑷ 下垂体前葉のドパミン受容体が刺激されてプロラクチンの分泌が減り、その結果として筋の動きが悪くなった。下垂体のD2受容体が遮断されるとプロラクチンは増えます。運動症状の原因でもありません。
- ⑸ 大脳皮質の抑制性のGABA-A受容体が遮断され、運動神経への抑制が弱まって手のふるえが現れた。ハロペリドールはGABA-A受容体を遮断する薬ではありません。
解説
正解は⑵です。ハロペリドールはドパミンD2受容体を強く遮断する抗精神病薬で、中脳辺縁系での遮断が幻覚や妄想を抑えます。一方で、黒質から線条体へ向かう経路のD2受容体も遮断するため、ドパミンとアセチルコリンの釣り合いが崩れ、ふるえ、筋の固さ、動作の遅さなどの薬剤性のパーキンソン症状が現れます。下垂体での遮断はプロラクチンの増加を起こし、乳汁分泌や月経異常の原因になります。
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