ペニシリン系抗菌薬は、細菌の細胞壁合成酵素を阻害して作用する一方、細菌がつくる分…
ペニシリン系抗菌薬は、細菌の細胞壁合成酵素を阻害して作用する一方、細菌がつくる分解酵素や水溶液中で活性を失いやすい。この両方の性質に共通する構造上の理由として、最も適切なのはどれか。
- ⑴ 分子内のチアゾリジン環の硫黄が酸化され、スルホキシドとなって活性を失う。硫黄の酸化は作用機序とも主な失活経路とも関係がなく、両方の性質を説明できません。
- ⑵ 四員環のβ-ラクタム環はひずみが大きく、カルボニル炭素が求核攻撃を受けやすい。このカルボニル炭素を酵素のセリンが攻撃して不可逆に結合し、同じ性質で加水分解も受けやすくなります。
- ⑶ β-ラクタム環の窒素が強い塩基性を示し、プロトン化されて開環する。β-ラクタム環の窒素はアミド窒素で、塩基性はほとんどありません。
- ⑷ ジヒドロチアジン環の二重結合が光で異性化しやすく、活性の形を保てない。ジヒドロチアジン環はセフェム系の骨格で、ペニシリン系はチアゾリジン環をもちます。
- ⑸ カルボキシ基が生体内でエステル化され、標的の酵素に結合できなくなる。カルボキシ基のエステル化は、むしろプロドラッグ化に使われる修飾で、失活の主な理由ではありません。
解説
共通する理由は、β-ラクタム環のひずみによってカルボニル炭素が求核攻撃を受けやすいことです。ペニシリン結合たんぱく質の活性中心のセリンがこのカルボニル炭素を攻撃すると、環が開いてアシル化酵素となり、細胞壁の架橋が止まります。同じ反応性のため、β-ラクタマーゼや水による加水分解も受けやすく、開環すると抗菌活性を失います。作用と失活が同じ構造に由来する点が要点です。
当サービスが作成したオリジナル問題です。実際の試験問題ではありません。