処方されたオメプラゾールは強酸による活性化を受けて効果を発揮する。下図は、その化…
58 歳男性。身長 174 cm、体重 82 kg。仕事が忙しくなってストレスがたまり、暴飲暴食で早食いとなった。最近、胸やけとともに、口の中に酸っぱい液体が上がってくる感じがすることから、相談のために薬局を訪れた。服用薬を確認したところ、近隣のドラッグストアで購入した酸化マグネシウムを服用していたが、症状は改善しなかったとのことであった。そこで、医療機関への受診を勧めた。近医にて内視鏡検査の結果、胃食道逆流症と診断され、以下の処方箋を持って再び薬局を訪れた。(処方)オメプラゾール錠 20 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 14 日分
処方されたオメプラゾールは強酸による活性化を受けて効果を発揮する。下図は、その化学変換を示しており、生成した活性体Cが不可逆的に H⁺,K⁺-ATP アーゼプロトンポンプ(ATPase)を阻害する。この反応過程において、強酸性条件下により増大する性質はどれか。1つ選べ。
- ⑴ Aのアの窒素原子の求核性強酸性下では窒素原子がプロトン化されるため、窒素の非共有電子対が使えなくなり求核性はむしろ低下します。
- ⑵ Aのイの炭素原子の求電子性ベンゾイミダゾール環の窒素がプロトン化されると2位炭素の電子が引かれ、求電子性が増大するため正答です。
- ⑶ Bのウの窒素原子の求電子性酸性条件で増大するのは炭素の求電子性であり、窒素原子の求電子性が高まって反応するわけではありません。
- ⑷ Bのエの硫黄原子の求核性酸性条件でプロトン化が進むと求核性は高まりません。活性体の硫黄はむしろ求電子的に働きSH基と反応します。
- ⑸ Cと反応する ATPase の SH 基の求電子性ATPaseのSH基は求核剤として活性体の硫黄を攻撃します。SH基は求電子性ではなく、酸で求核性も高まりません。
この問題は問題の図(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑵です。オメプラゾールはプロドラッグで、胃壁細胞の強酸性環境でベンゾイミダゾール環の窒素がプロトン化されると、その2位炭素(Aのイ)の求電子性が高まります。そこへピリジン環の窒素が分子内で求核攻撃してスピロ中間体を経てスルフェン酸・スルフェンアミド(活性体)となり、ATPaseのシステインSH基とジスルフィド結合を作って不可逆的に阻害します。酸はプロトン化によって求電子性を高める方向に働き、求核性は下げる点が判断の鍵です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成