69 歳の女性。2 か月前から自宅近くの診療所で左眼充血のため点眼治療を受けてい…
69 歳の女性。2 か月前から自宅近くの診療所で左眼充血のため点眼治療を受けていた。最近、複視や眼球突出が出現したため紹介され来院した。左眼前眼部写真(別冊No. 11)を別に示す。視力は右0.8(1.2×cyl-1.50 D 80°)、左0.4(1.0×cyl-2.25 D 100°)。考えられるのはどれか。
- ⑴ 強膜炎強膜炎は強い痛みを伴い、眼球突出や複視は典型的ではありません。
- ⑵ 甲状腺眼症甲状腺眼症でも突出と複視は起こりますが、蛇行した結膜血管の充血は本症に特徴的です。
- ⑶ 慢性結膜炎慢性結膜炎では眼球突出や複視は起こりません。
- ⑷ 悪性リンパ腫眼窩の悪性リンパ腫は突出を起こしますが、充血の性状と経過は本症に合います。
- ⑸ 内頸動脈海綿静脈洞瘻静脈うっ滞による蛇行した充血、眼球突出、眼球運動神経の障害による複視が特徴です。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑸です。内頸動脈海綿静脈洞瘻は、海綿静脈洞内で動脈と静脈が短絡し、眼の静脈に動脈血が逆流する疾患です。上眼静脈がうっ滞して、結膜の血管が蛇行・拡張したコルクスクリュー様の充血、眼球突出、眼圧上昇がみられ、海綿静脈洞内を走る動眼・滑車・外転神経が障害されて複視を生じます。写真は確認できませんが、点眼で改善しない長引く充血に続いて複視と眼球突出が出た経過は本症の典型です。結膜炎として見逃されやすいため注意が必要です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-10.html)を加工して作成