86 歳の女性。上顎前歯部口蓋側の腫脹を主訴として来院した。3 か月前から自覚し…
86 歳の女性。上顎前歯部口蓋側の腫脹を主訴として来院した。3 か月前から自覚していたが痛みがないため、そのままにしていたという。触診によって軽度の圧痛を認めるが、粘膜の色に異常は認めない。初診時のエックス線画像(別冊No. 7A)、CT 軟組織表示横断像(別冊No. 7B)、CT 硬組織表示横断像(別冊No. 7C)、MRI 脂肪抑制T2 強調横断像(別冊No. 7D)及びMRI T1 強調冠状断像(別冊No. 7E)を別に示す。最も考えられるのはどれか。1 つ選べ。
- ⑴ 歯根囊胞歯根囊胞は失活歯の根尖部に生じる囊胞で、原因歯との関連が必要であり、正中の切歯管部の病変とは異なります。
- ⑵ 粘液囊胞粘液囊胞は小唾液腺の導管損傷で下唇や舌下面に生じる軟組織の囊胞で、口蓋前方の骨内病変ではありません。
- ⑶ 鼻歯槽囊胞鼻歯槽囊胞は鼻翼基部の軟組織に生じ、鼻唇溝の膨隆を示すもので、口蓋側の腫脹ではありません。
- ⑷ 鼻口蓋管囊胞上顎正中部の切歯管に一致して生じ、口蓋前方の無痛性腫脹を示す鼻口蓋管囊胞が最も考えられます。
- ⑸ 術後性上顎囊胞術後性上顎囊胞は上顎洞根治術の既往がある患者の上顎洞部に生じ、前歯部口蓋の病変ではありません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑷です。画像は提示されていませんが、高齢者の上顎前歯部口蓋側に無痛性で緩徐に増大する腫脹があり、粘膜色が正常であることから、切歯管(鼻口蓋管)の上皮遺残に由来する鼻口蓋管囊胞が最も考えられます。典型例ではエックス線で正中の切歯管部にハート形や類円形の透過像を示し、MRIのT2強調像で高信号を示します。歯根囊胞は失活歯の根尖部、粘液囊胞は口唇や舌下面、鼻歯槽囊胞は鼻翼基部の軟組織、術後性上顎囊胞は上顎洞根治術後に生じます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-02.html)を加工して作成