70 歳の女性。左側舌縁部の知覚鈍麻を主訴として来院した。3 か月前から徐々に増…
70 歳の女性。左側舌縁部の知覚鈍麻を主訴として来院した。3 か月前から徐々に増悪してきたという。初診時の口腔内写真(別冊No. 10A)、MRI(別冊No. 10B)及び生検時のH-E 染色病理組織像(別冊No. 10C)を別に示す。病変の発生部位と病理診断の組合せで正しいのはどれか。1 つ選べ。
- ⑴ 顎下腺 ― 多形腺腫顎下腺の多形腺腫は良性腫瘍で、神経浸潤による知覚鈍麻は通常生じません。
- ⑵ 顎下腺 ― 腺様囊胞癌腺様嚢胞癌は顎下腺にも生じますが、舌縁部の知覚鈍麻と口底の病変からは舌下腺が考えられます。
- ⑶ 舌下腺 ― 粘表皮癌粘表皮癌は扁平上皮様細胞と粘液産生細胞からなり、神経周囲浸潤は腺様嚢胞癌ほど特徴的ではありません。
- ⑷ 舌下腺 ― 腺房細胞癌腺房細胞癌は主に耳下腺に生じ、舌下腺ではまれです。
- ⑸ 舌下腺 ― 腺様囊胞癌舌下腺の腺様嚢胞癌が舌神経へ神経周囲浸潤し、知覚鈍麻を生じたと考えられます。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑸です。画像や組織像は確認できませんが、舌縁部の知覚鈍麻が徐々に増悪していることから、口底の舌下腺に生じた悪性腫瘍が近接する舌神経に浸潤していると考えられます。舌下腺腫瘍は悪性の割合が高く、なかでも腺様嚢胞癌が多くみられます。腺様嚢胞癌は篩状構造(スイスチーズ様)を特徴とし、神経周囲浸潤を起こしやすいため、疼痛や知覚異常を伴うのが特徴です。発育は緩慢ですが、遠隔転移を来しやすく長期の経過観察が必要です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-02.html)を加工して作成