52 歳の男性。胸痛を主訴に来院した。緊急冠動脈造影後、冠動脈バイパス術を予定し…
52 歳の男性。胸痛を主訴に来院した。緊急冠動脈造影後、冠動脈バイパス術を予定して、ヘパリン投与を継続しながら冠動脈疾患集中治療室〈CCU〉に入室した。ヘパリン投与開始5 日後から頭痛と悪心を訴えるようになり、7 日後に急激な頭痛の増悪、嘔吐および軽度の構音障害を認めた。既往歴に血栓症はなく、家族歴に特記すべきことはない。意識は清明。体温36.8 ℃。脈拍88/分、整。血圧138/82mmHg。呼吸数18/分。SpO2 97 %(room air)。血液所見:赤血球420 万、Hb 12.5g/dL、Ht 37 %、白血球7,800、血小板4.1 万、PT-INR 1.1(基準0.9~1.1)、APTT 31.0 秒(基準対照32.2)、フィブリノゲン390 mg/dL(基準186~355)、Dダイマー4.5 μg/mL(基準1.0 以下)。末梢血塗抹標本で破砕赤血球を認めなかった。頭部造影MRI で脳静脈洞血栓症と診断された。血栓症の原因検索のために行うべき検査はどれか。
- ⑴ 骨髄穿刺骨髄疾患を示す所見はなく、HITの診断に骨髄穿刺は不要です。
- ⑵ HIT 抗体測定ヘパリン投与後5〜14日の血小板減少と血栓症からHITを疑い、HIT抗体を測定します。
- ⑶ 尿素呼気試験尿素呼気試験はピロリ菌の検査で、ITPの関連検査ですが本例の血栓症の原因検索には不適切です。
- ⑷ 第Ⅷ因子活性測定第Ⅷ因子活性は血友病の診断に用い、本例の血栓症の原因検索には用いません。
- ⑸ 抗ADAMTS-13 抗体測定破砕赤血球がなくTTPは否定的で、抗ADAMTS13抗体の測定は優先されません。
解説
正解は⑵です。ヘパリン投与開始5〜7日後に血小板が4.1万へ減少し、同時期に脳静脈洞血栓症を発症していることから、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)が強く疑われます。HITはヘパリンと血小板第4因子の複合体に対する抗体が血小板を活性化し、血小板減少と動静脈血栓症を起こします。診断にはHIT抗体(抗PF4/ヘパリン抗体)を測定し、疑った時点でヘパリンを中止してアルガトロバンなどの抗トロンビン薬に切り替えます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成