75 歳の男性。下行結腸癌術後、肝転移のため在宅療養中である。3 年前に下行結腸…
75 歳の男性。下行結腸癌術後、肝転移のため在宅療養中である。3 年前に下行結腸癌で手術を受けた。1 年前に肝転移を診断されたが、薬物による抗癌治療は選択しなかった。1 か月前から食欲不振が出現し、在宅で1 日1,500 mL の維持輸液が開始された。その後徐々にベッド上で過ごすことが多くなり、2 週間前から両下腿の浮腫が増悪している。最近では喀痰が増えてきて、心配した妻から主治医が相談を受けた。妻と2 人暮らしで、患者本人と妻は自宅での療養の継続と自宅での看取りを希望している。身長165 cm、体重52 kg。体温36.2 ℃。脈拍92/分、整。血圧90/60mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96 %(room air)。呼吸音は両側胸部で減弱しており、coarse crackles と軽度のwheezes を聴取する。心窩部に径4 cm の有痛性の腫瘤を触知する。両下腿に著明な浮腫を認める。まず行うのはどれか。
- ⑴ 酸素投与SpO2 96%で低酸素血症はなく、酸素投与は優先されません。
- ⑵ 輸液の減量過剰輸液による浮腫と気道分泌増加が考えられ、輸液を減量して苦痛を和らげるのが適切です。
- ⑶ 緊急血液透析腎不全を示す所見はなく、在宅看取りを希望する終末期患者に緊急血液透析は適切ではありません。
- ⑷ 薬物による抗癌治療本人は抗癌治療を選択しておらず、全身状態も悪化しているため、薬物による抗癌治療は適切ではありません。
- ⑸ 下大静脈フィルター留置術肺塞栓を示唆する所見はなく、下大静脈フィルター留置術の適応はありません。
解説
正解は⑵です。大腸癌肝転移で終末期にあり、食事が摂れなくなってから1日1,500 mLの維持輸液を続けていますが、活動性が低下し、下腿浮腫の増悪と喀痰の増加、肺の副雑音がみられます。終末期には体内で水分を処理する能力が低下するため、過剰な輸液は浮腫、胸水・腹水、気道分泌物を増やし、苦痛を強めます。日本緩和医療学会の輸液ガイドラインでも、このような場合は輸液の減量や中止が勧められています。まず輸液を減量して症状の緩和を図ります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成