54 歳の男性。下痢を主訴に来院した。2 か月前から下痢が出現し軽快しないため受…
54 歳の男性。下痢を主訴に来院した。2 か月前から下痢が出現し軽快しないため受診した。便回数は1 日に6 ~7 回、便性状は泥状から水様であり、揚げ物を食べると脂肪便を認める。便に血液の付着はない。飲酒は日本酒6 合/日を34 年間。身長174 cm、体重58 kg。血圧132/70mmHg。腹部は平坦、軟で圧痛を認めない。腸雑音はやや亢進している。血液生化学所見:アミラーゼ28 U/L(基準44~132)、空腹時血糖140 mg/dL、CEA 3.0 ng/mL(基準5 以下)、CA19-9 37U/mL(基準37 以下)。腹部単純CT(別冊No. 23)を別に示す。禁酒の指導に加え、この患者に対して行う対応はどれか。
- ⑴ 低脂肪食非代償期の慢性膵炎では栄養障害を防ぐため極端な脂肪制限は行わず、消化酵素薬で吸収を補います。
- ⑵ 利胆薬の投与利胆薬は胆汁分泌を促す薬で、膵外分泌不全による脂肪便の治療にはなりません。
- ⑶ 消化酵素薬の投与膵外分泌不全による脂肪便と消化吸収障害には、高力価の消化酵素薬を投与します。
- ⑷ 酸分泌抑制薬の投与酸分泌抑制薬は消化酵素薬の失活を防ぐ目的で併用されることはありますが、主たる対応ではありません。
- ⑸ 体外衝撃波結石破砕術〈ESWL〉体外衝撃波結石破砕術は膵石による膵管閉塞で疼痛がある場合などに行う治療で、本例の下痢への対応ではありません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶です。長期の大量飲酒歴、脂肪便を伴う慢性下痢、体重減少、血清アミラーゼ低値、耐糖能異常から、アルコール性慢性膵炎の非代償期で膵外分泌不全と膵内分泌不全をきたしていると考えられます。CTは本文から確認できませんが、膵石や膵萎縮が想定されます。膵外分泌不全による消化吸収障害には、高力価の消化酵素薬(パンクレリパーゼ)を食事とともに投与します。脂肪制限はかえって栄養障害を悪化させるため勧められない点にも注意します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成