60 歳の女性。心窩部痛を主訴に来院した。昨夜、大量飲酒後に激しい心窩部痛があり…
60 歳の女性。心窩部痛を主訴に来院した。昨夜、大量飲酒後に激しい心窩部痛があり、軽快しないため受診した。生来健康である。飲酒は焼酎4 合/日を30 年間。意識は清明。体温37.2 ℃。脈拍100/分、整。血圧160/92mmHg。呼吸数20/分。腸雑音は減弱している。心窩部に圧痛を認めるが反跳痛や筋性防御を認めない。血液所見:赤血球420 万、Hb 12.2 g/dL、Ht 38 %、白血球12,800、血小板22 万。血液生化学所見:総蛋白6.8 g/dL、アルブミン4.2 g/dL、総ビリルビン1.0 mg/dL、直接ビリルビン0.4 mg/dL、AST 40 U/L、ALT 62 U/L、LD 240U/L(基準124~222)、アミラーゼ2,048 U/L(基準44~132)、尿素窒素22 mg/dL、クレアチニン1.1 mg/dL、Na 136 mEq/L、K 4.0 mEq/L、Cl 104 mEq/L。CRP1.6 mg/dL。この患者で重症度判定に必要な画像検査はどれか。
- ⑴ 腹部造影CT造影CTで炎症の膵外進展度と膵造影不良域を評価し、CT Gradeとして重症度判定に用います。
- ⑵ 腹部超音波検査胆石や胆管拡張の評価に有用ですが、腸管ガスの影響を受けやすく、重症度判定の基準には含まれません。
- ⑶ 超音波内視鏡検査超音波内視鏡は胆管結石や膵腫瘍の精査に用いる検査で、急性期の重症度判定には用いません。
- ⑷ 磁気共鳴胆管膵管撮影〈MRCP〉MRCPは胆管結石の評価に用いますが、急性膵炎の重症度判定の基準となる検査ではありません。
- ⑸ 内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉ERCPは侵襲的で膵炎を悪化させうるため、重症度判定目的には行いません。胆管炎合併時などに限られます。
解説
正解は⑴です。大量飲酒後の激しい心窩部痛と血清アミラーゼの著明な上昇から、アルコール性急性膵炎と診断できます。厚生労働省の急性膵炎重症度判定基準(2025年時点で用いられている2008年基準)は、予後因子スコアと造影CT Gradeの2本立てで、造影CTで膵外への炎症の進展と膵の造影不良域を評価します。腎機能障害がなければ造影CTを行うのが原則です。超音波検査は胆石の検索などに有用ですが、重症度の判定には用いない点が重要です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成