54歳の女性。喫煙歴はない。健康診断で左の肺に腫瘤を指摘され、精査の結果、肺腺癌…
54歳の女性。喫煙歴はない。健康診断で左の肺に腫瘤を指摘され、精査の結果、肺腺癌と診断された。多発性の骨転移があり、手術はできない。腫瘍の組織の遺伝子検査で、上皮成長因子受容体の遺伝子に変異がみられた。治療方針として最も適切なのはどれか。
- ⑴ 両肺と骨の転移を手術で取り除く。多発する骨転移を手術ですべて取り除くことは現実的ではありません。
- ⑵ 喫煙歴がないので肺癌の診断は誤りとして、再検査を行う。喫煙歴のない人にも肺腺癌は起こり、特に女性ではこのような遺伝子変異が多くみられます。
- ⑶ 変異した受容体の働きを抑える分子標的薬を使う。上皮成長因子受容体の遺伝子変異をもつ肺腺癌には、その働きを抑える分子標的薬がよく効きます。
- ⑷ 抗菌薬を長く投与して、腫瘍を小さくする。肺癌は抗菌薬では治療できません。
- ⑸ 手術ができないので、治療はせずに経過を見る。薬物療法で病気を抑え、生活の質を保つことが期待できます。
解説
変異した受容体の働きを抑える分子標的薬を使うのが最も適切です。肺腺癌の一部、特に喫煙歴のない人や女性、アジア人では、上皮成長因子受容体の遺伝子に変異があり、この受容体が働き続けることで癌細胞が増えます。その働きを抑える分子標的薬がよく効き、従来の抗癌薬より効果が高いことが示されています。進行した肺癌では、組織の遺伝子を調べて治療薬を選ぶことが基本です。
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