38歳の男性。喫煙は10本を10年間ほど。数年前から息切れが強くなり、呼吸機能検…
38歳の男性。喫煙は10本を10年間ほど。数年前から息切れが強くなり、呼吸機能検査で強い閉塞性の障害がある。胸部CTで、肺の下の方を中心に広い範囲で肺胞の壁が壊れている。兄も40歳代で同じような肺の病気と言われている。この若さと分布から、最も疑うべき病態はどれか。
- ⑴ 肺の間質が厚く硬くなり、肺がふくらみにくくなる。間質の線維化では拘束性の障害になり、閉塞性の障害とは異なります。
- ⑵ 気管支の筋肉が発作的に縮み、気道が一時的に狭くなる。喘息の気道の狭窄は可逆的で、肺胞の壁が壊れることはありません。
- ⑶ 肺の血管に血栓が詰まり、息切れが起きている。肺塞栓では肺胞の壁の破壊や閉塞性の障害は起こりません。
- ⑷ 長年の大量の喫煙によって、肺の上の方に肺気腫ができた。喫煙による肺気腫は上葉に多く、高齢で起こるのが一般的です。本例の若さと下葉の分布は合いません。
- ⑸ 肺を守る酵素の阻害物質が、生まれつき不足している。α1-アンチトリプシンの欠乏では、若いうちから下葉を中心とした肺気腫が起こり、家族に同じ病気がみられます。
解説
肺を守るたんぱく分解酵素の阻害物質が、生まれつき不足していることを疑います。α1-アンチトリプシンは肝臓で作られ、肺で白血球のたんぱく分解酵素の働きを抑えて肺胞を守っています。遺伝的にこれが不足すると、若いうちから肺胞の壁が壊れ、特に肺の下の方に強い肺気腫が起こります。喫煙で進行が速まるため、禁煙が大切です。日本人ではまれですが、若い人の肺気腫では考えるべき病気です。
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