服薬指導でこの患者に伝えることとして適切なのはどれか。2つ選べ。
50 歳男性。かかりつけの内科クリニックでコレステロール値が高いと指摘され、食事療法と運動療法を行っていたが、コントロール不良のため薬物療法を開始することとなり、本日、処方1 の薬剤が記載された処方箋を持って薬局を訪れた。(処方1 )シンバスタチン錠5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 夕食後 28 日分処方1 の薬剤は本日より初めて服用する薬である。この男性が持参したお薬手帳には7 日前に近所の耳鼻科で処方された以下の薬剤が記載されていた。男性によると「ずっと鼻がつまっていたので受診したら、慢性副鼻腔炎と言われ、薬をもらった。」とのことだった。(お薬手帳の内容)クラリスロマイシン錠 200 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 28 日分カルボシステイン錠 500 mg 1 回1 錠(1 日3 錠)1 日3 回 朝昼夕食後 28 日分薬剤師は、処方1 の薬剤とお薬手帳の薬剤との相互作用について医師に疑義照会を行った。その結果、シンバスタチン錠5 mg からフルバスタチン錠 10 mg へ変更する旨の回答を得たので、処方1 から処方2 に変更することとなった。(処方2 )フルバスタチン錠 10 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 夕食後 28 日分また、患者より「毎日グレープフルーツジュースを飲んだり、時々市販の酸化マグネシウムという便秘薬を夕食後に飲むのですが、飲み合わせは大丈夫ですか。」との質問を受けた。
服薬指導でこの患者に伝えることとして適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ カルボシステイン錠を服用している人が処方1 のお薬を服用すると、処方1 のお薬の作用が弱くなるため、処方2 のお薬に変更になりました。カルボシステインはシンバスタチンの作用を弱めることはなく、変更の理由ではありません。
- ⑵ クラリスロマイシン錠を服用している人が処方1 のお薬を服用すると、処方1のお薬の副作用が出やすくなるため、処方2 のお薬に変更になりました。クラリスロマイシンのCYP3A4阻害でシンバスタチンの血中濃度が上昇し副作用が出やすくなるため、適切な説明です。
- ⑶ 処方2 のお薬は、コレステロールの排泄を促進する作用があります。フルバスタチンはHMG-CoA還元酵素を阻害してコレステロール合成を抑える薬で、排泄促進作用ではありません。
- ⑷ 処方2 のお薬は、グレープフルーツジュースとの飲み合わせについて注意喚起されていません。フルバスタチンは主にCYP2C9で代謝され、グレープフルーツジュースとの注意喚起はないため適切な説明です。
- ⑸ 処方2 のお薬と酸化マグネシウムを同時に服用すると、処方2 のお薬の吸収が低下するため、時間をずらして服用してください。酸化マグネシウムでフルバスタチンの吸収が低下するという注意喚起はなく、時間をずらす必要はありません。
解説
正解は⑵と⑷です。シンバスタチンはCYP3A4で代謝されるため、強力なCYP3A4阻害薬であるクラリスロマイシンとの併用で血中濃度が大きく上昇し、横紋筋融解症などの副作用が出やすくなるため併用禁忌です。そのため主にCYP2C9で代謝されるフルバスタチンへ変更されました。フルバスタチンはCYP3A4の関与が小さく、グレープフルーツジュースとの飲み合わせについて注意喚起されていません。スタチンはHMG-CoA還元酵素を阻害してコレステロール合成を抑える薬です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成