本院内製剤の交付時の説明として、適切なのはどれか。2つ選べ。
8 歳女児。近視の薬物治療を希望する母親に連れられて来院した。当院では、6 歳から 18 歳未満の中等度近視の小児に対して、低濃度アトロピン硫酸塩点眼薬(院内製剤)を使用した近視進行抑制治療を実施している。診察の結果、中等度近視と診断され、患児及び母親にインフォームド・コンセントを行い、以下の院内製剤が処方された。(処方)アトロピン点眼薬 0.01%(院内製剤) 5 mL 1 本1 回1 滴1 日1 回 就寝前 両眼に点眼なお、本院内製剤は、医療用医薬品である1 %アトロピン硫酸塩点眼液(注)0.5 mL を、注射用生理食塩液 49.5 mL で希釈し、点眼用プラスチック容器に5 mL ずつ分注して調製する。注:アトロピン硫酸塩水和物点眼液1 %・有効成分:(1 mL 中)日局アトロピン硫酸塩水和物 10 mg〈性状〉水に極めて溶けやすく、エタノール(95)に溶けやすく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。光によって変化する。・添加物:亜硫酸水素ナトリウム、ベンザルコニウム塩化物、等張化剤、リン酸二水素ナトリウム水和物、無水リン酸一水素ナトリウム・pH:5.0~6.5
本院内製剤の交付時の説明として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 効果が感じられない場合は、点眼量を増やしてください。点眼量を増やすと散瞳や全身性副作用が増えるだけで、効果不十分を理由に自己判断で増量してはいけません。
- ⑵ 眩しさを感じることがあるので、就寝前に点眼してください。アトロピンの散瞳作用で眩しさを感じることがあるため、就寝前に点眼する説明は適切です。
- ⑶ 頭痛や動悸といった全身性の副作用に注意してください。全身に吸収されると頭痛や動悸など抗コリン性の副作用が起こり得るため、注意を促すのは適切です。
- ⑷ 副作用による被害が生じたときは、医薬品副作用被害救済制度の対象となります。院内製剤は承認された医薬品の適正使用に当たらず、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
- ⑸ 本院内製剤は、公的医療保険の適用対象です。近視進行抑制のための院内製剤による治療は公的医療保険の適用外で、自費診療となります。
解説
正解は⑵と⑶です。アトロピンは抗コリン作用により散瞳と調節麻痺を起こすため、眩しさや見えにくさを感じることがあり、影響の少ない就寝前に点眼します。また点眼液が鼻涙管から全身に吸収されると、頭痛、動悸、顔面紅潮などの全身性の抗コリン性副作用が起こり得るため注意を促します。効果が感じられなくても点眼量を増やしてはいけません。院内製剤による治療は承認医薬品の使用ではないため、副作用被害救済制度や公的医療保険の対象外です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成