処方1 ~4 のいずれかの薬物の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。
33 歳女性。身長 158 cm、体重 52 kg。夫と2 人暮らし。1 年半前より朝の関節のこわばりや痛みを自覚し、1 年前に関節の腫脹・疼痛が出現した。近医でリウマトイド因子陽性の関節リウマチと診断され、治療が開始された。処方1 ~3 で治療継続中であったが、疾患活動性の上昇により7 日前に入院した。病棟カンファレンスで処方3 が処方4 へ変更されることになった。(処方1 )メトトレキサートカプセル2 mg 1 回2 カプセル(1 日4 カプセル)毎週 土曜日1 日2 回 朝夕食後 1 日分(投与実日数)メトトレキサートカプセル2 mg 1 回1 カプセル(1 日1 カプセル)毎週 日曜日1 日1 回 朝食後 1 日分(投与実日数)(処方2 )葉酸錠5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)毎週 月曜日1 日1 回 朝食後 1 日分(投与実日数)(処方3 )アダリムマブ(遺伝子組換え)皮下注(40 mg/ 1 キット) 1 キット1 回 40 mg2 週間に1 回 皮下注射(自己注射)(処方4 )トファシチニブクエン酸塩錠5 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)1 日2 回 朝夕食後 7 日分
処方1 ~4 のいずれかの薬物の作用機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ IL-6 受容体に結合することで、IL-6 により誘導される炎症反応を抑制する。IL-6受容体に結合するのはトシリズマブやサリルマブで、処方1〜4には含まれません。
- ⑵ 抗原提示細胞表面の CD80/CD86 に結合することで、CD28 を介した共刺激シグナルを抑制する。CD80/CD86に結合して共刺激を抑えるのはアバタセプトで、処方1〜4には含まれません。
- ⑶ ヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害することで、リンパ球の活性化を阻害する。トファシチニブはJAKを阻害してサイトカインシグナルを遮断しリンパ球活性化を抑えるため、正答です。
- ⑷ カルシニューリンを阻害することで、ヘルパー T 細胞における IL-2 産生を抑制する。カルシニューリン阻害はタクロリムスやシクロスポリンの作用で、処方1〜4には含まれません。
- ⑸ ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害することで、チミジル酸の合成を抑制する。メトトレキサートはジヒドロ葉酸還元酵素を阻害しチミジル酸合成を抑制するため、正答です。
解説
正解は⑶と⑸です。処方4のトファシチニブはヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害して、サイトカイン受容体からのシグナル伝達を遮断し、リンパ球の活性化を抑えます。処方1のメトトレキサートはジヒドロ葉酸還元酵素を阻害して活性型葉酸の生成を妨げ、チミジル酸やプリンの合成を抑制します。処方3のアダリムマブは抗TNF-αモノクローナル抗体です。IL-6受容体への結合はトシリズマブ、CD80/CD86への結合はアバタセプト、カルシニューリン阻害はタクロリムスなどの作用です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成