治療開始後、ステロイド抵抗性との診断を受け、シクロスポリンカプセルが追加されるこ…
68 歳女性。身長155 cm、体重50 kg。下腿浮腫及び尿の泡立ちを自覚するようになり、近医を受診した。タンパク尿及び低アルブミン血症を認め、ネフローゼ症候群が疑われ、精査加療のため総合病院に入院となった。検査の結果、以下の治療を開始した。(入院時検査値)血圧142/92 mmHg、血清総タンパク5.1 g/dL、血清アルブミン2.6 g/dL、BUN 38 mg/dL、血清クレアチニン1.0 mg/dL、総コレステロール338 mg/dL、LDL-C 248 mg/dL、Na 142 mEq/L、K 4.2 mEq/L、尿タンパク(3+)(処方1 )プレドニゾロン錠5 mg 1 回8 錠(1 日8 錠)フロセミド錠40 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 7 日分(処方2 )ピタバスタチンCa 錠2 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 夕食後 7 日分1 週間後、浮腫の軽減が不十分であったため、多職種によるカンファレンスで薬剤師に意見が求められた。
治療開始後、ステロイド抵抗性との診断を受け、シクロスポリンカプセルが追加されることになった。そのため、薬剤師は処方2 の薬剤についてフルバスタチンへの変更を医師に提案した。その理由として正しいのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ シクロスポリンがピタバスタチンの消化管吸収を阻害するため。シクロスポリンはピタバスタチンの消化管吸収を阻害しません。相互作用の主な機序は肝取り込みの阻害です。
- ⑵ シクロスポリンがピタバスタチンの肝取り込みを阻害するため。シクロスポリンはOATP1B1を阻害してピタバスタチンの肝取り込みを妨げ、血中濃度を上昇させるため、併用は禁忌です。
- ⑶ ピタバスタチンがシクロスポリンの代謝を阻害するため。ピタバスタチンはシクロスポリンの代謝(CYP3A4)を阻害しません。影響を受けるのはピタバスタチンの側です。
- ⑷ ピタバスタチンがシクロスポリンの尿細管分泌を阻害するため。ピタバスタチンがシクロスポリンの尿細管分泌を阻害するという相互作用はありません。
- ⑸ シクロスポリンがピタバスタチンの尿細管再吸収を阻害するため。ピタバスタチンは主に胆汁排泄されるため、尿細管再吸収の阻害は相互作用の機序ではありません。
解説
正解は⑵です。ピタバスタチンはほとんど代謝されず、肝臓の取り込みトランスポーターOATP1B1を介して肝細胞に取り込まれて作用します。シクロスポリンはOATP1B1を強く阻害するため、ピタバスタチンの血中濃度が大きく上昇し、横紋筋融解症などのリスクが高まります。そのため、両者の併用は禁忌とされています。フルバスタチンは主にCYP2C9で代謝され、OATP1B1の阻害による影響が比較的小さいため、変更先として提案されます。吸収や腎での再吸収・分泌の問題ではありません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成