お薬手帳から確認された現在服用中の薬剤とイトラコナゾールカプセルとの間で懸念され…
69 歳男性。数日前より髪の毛が抜けやすくなり、ふけや頭皮のかゆみを自覚した。皮膚科を受診したところ、頭部白癬と診断され、経口抗真菌薬で治療することになった。男性は以下の処方箋を持って、薬局を訪れた。男性の持参したお薬手帳を薬剤師が確認したところ、現在服用中の薬剤との薬物相互作用が懸念された。(処方)イトラコナゾールカプセル50 mg 1 回2 カプセル(1 日2 カプセル)1 日1 回 朝食直後 14 日分(お薬手帳から確認された現在の服用薬)オルメサルタン口腔内崩壊錠20 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)フェブキソスタット錠20 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後ビルダグリプチン錠50 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)1 日2 回 朝夕食後ミグリトール口腔内崩壊錠50 mg 1 回1 錠(1 日3 錠)1 日3 回 朝昼夕食直前シンバスタチン錠5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 夕食後
お薬手帳から確認された現在服用中の薬剤とイトラコナゾールカプセルとの間で懸念される薬物相互作用の発現機序として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 胃内pH の上昇による溶解性の低下胃内pHの上昇でイトラコナゾールの溶解性が下がるのはPPIなどとの併用時で、手帳の薬剤にはそのような薬はありません。
- ⑵ 核内受容体を介した小腸P-糖タンパク質の発現量増加核内受容体を介したP-糖タンパク質の誘導はリファンピシンなどの作用で、イトラコナゾールとの相互作用の機序ではありません。
- ⑶ 肝臓のOATP1B1 に対する競合阻害OATP1B1の競合阻害はシクロスポリンなどでみられる機序で、イトラコナゾールとシンバスタチンの相互作用の主な機序ではありません。
- ⑷ 代謝物によるCYP3A4 の不可逆的阻害代謝物によるCYP3A4の不可逆的阻害はクラリスロマイシンなどのマクロライド系薬でみられる機序です。
- ⑸ ヘム鉄への配位結合によるCYP3A4 の阻害イトラコナゾールのアゾール環の窒素がCYP3A4のヘム鉄に配位結合して酵素を阻害し、シンバスタチンの代謝を抑えます。
解説
正解は⑸です。お薬手帳の薬剤のうち、イトラコナゾールとの相互作用で問題となるのはシンバスタチンです。シンバスタチンは主にCYP3A4で代謝されるため、イトラコナゾールと併用すると血中濃度が大きく上昇し、横紋筋融解症のリスクが高まり、併用禁忌です。イトラコナゾールはアゾール系抗真菌薬で、アゾール環の窒素原子がCYP3A4のヘム鉄に配位結合することで、酵素を強力に阻害します。代謝物による不可逆的阻害は、マクロライド系薬などでみられる機序です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成