この女性は生活習慣に改善がみられず、再び健康フェアに参加した際に受診勧奨され、近…
55 歳女性。身長160 cm、体重70 kg。地域のイベントの一つとして、近所の薬局で開催された健康フェアに参加した。糖分を多く含む飲料を好み、運動習慣がほとんどなく、ここ10 年来、健康診断を受けていなかった。薬局において血圧、指の穿刺血液による空腹時血糖値、HbA1c 値及び総コレステロール値を測定したところ、血圧は135/85 mmHg、空腹時血糖値は120 mg/dL、HbA1c 値は5.8%、総コレステロール値は220 mg/dL であった。薬剤師が受診を勧めたところ、受診前にできることとして、生活習慣の改善や特定保健用食品(トクホ)について質問された。
この女性は生活習慣に改善がみられず、再び健康フェアに参加した際に受診勧奨され、近医を受診した。血圧は160/95 mmHg、空腹時血糖値は145 mg/dL、HbA1c 値は6.8%であった。患者は運動療法・食事療法を実施していたが、改善しなかったため、処方1 と2 が出され来局した。(処方1 )エナラプリルマレイン酸塩錠5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 14 日分(処方2 )メトホルミン塩酸塩錠250 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)1 日2 回 朝夕食後 14 日分薬剤師からこの患者への指導として適切でないのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ まぶたや唇の腫れなどを認めた場合には教えてください。指導として適切です。エナラプリルなどのACE阻害薬では、まぶたや唇の腫れなどの血管浮腫が起こることがあります。
- ⑵ 悪心、下痢などを認めた場合には教えてください。指導として適切です。メトホルミンでは悪心や下痢などの消化器症状がよくみられ、乳酸アシドーシスの初期症状のこともあります。
- ⑶ 空咳などを認めた場合には教えてください。指導として適切です。ACE阻害薬はブラジキニンの分解を抑えるため、空咳が起こりやすくなります。
- ⑷ 副作用予防のため適度に水分を摂取してください。指導として適切です。脱水は乳酸アシドーシスのリスクを高めるため、メトホルミン服用中は適度な水分摂取を勧めます。
- ⑸ バリウム造影剤を用いる検査は受けないでください。適切でない指導です。休薬が必要なのはヨード造影剤を用いる検査であり、バリウム造影剤の検査は避ける必要はありません。
解説
正解は⑸です。メトホルミンの服用中に注意が必要なのはヨード造影剤を用いる検査で、腎機能の悪化を介して乳酸アシドーシスを起こすおそれがあるため、検査前後に一時休薬します。バリウム造影剤(硫酸バリウム)ではこうした問題はなく、検査を避ける必要はありません。エナラプリルでは血管浮腫(まぶたや唇の腫れ)や空咳、メトホルミンでは悪心・下痢などの消化器症状が起こり得ます。乳酸アシドーシス予防のため、脱水を避けて適度に水分を摂るよう指導します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成