この患者の経過及び処方から考えられる疾患はどれか。2つ選べ。
86 歳男性。76 歳時に妻と死別し独居中であるが、近所に住む娘が介護にあたってきた。死別5 年後の81 歳の頃から、徐々に物忘れが出現し、時々つじつまが合わない発言があったが放置していた。84 歳頃より、物忘れがひどくなり、一人になると不安感が強くなった。娘の姿が見えないと、すぐに名前を呼び、片時も離れられない状況になったため、物忘れ外来を受診した。来院時、新しいことが覚えられず、取り繕うような話し方であった。尿失禁や歩行障害はなし。長谷川式簡易知能評価(HDS-R)は30 点満点中18 点であった。頭部CT で海馬の萎縮を指摘されたが、梗塞巣所見はなく、血液検査も異常はなかった。また、この男性は不整脈に対して服薬しており、骨粗しょう症の治療のため3 年前から昨年までの24 ケ月間テリパラチド皮下注キットによる治療が実施された。現在の処方は以下のとおりである。(処方1 )ドネペジル塩酸塩口腔内崩壊錠5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 起床時(処方2 )ワルファリンカリウム錠1 mg 1 回2 錠(1 日2 錠)1 日1 回 起床時
この患者の経過及び処方から考えられる疾患はどれか。2つ選べ。
- ⑴ 心房細動不整脈の治療でワルファリンが処方されていることから、心原性脳塞栓症予防が必要な心房細動と考えられます。
- ⑵ 心室性期外収縮心室性期外収縮では通常抗凝固療法は行わず、ワルファリンの処方理由になりません。
- ⑶ アルツハイマー型認知症緩徐に進行する記憶障害、取り繕い反応、海馬の萎縮、ドネペジルの処方からアルツハイマー型認知症と考えられます。
- ⑷ 血管性認知症頭部CTで梗塞巣所見がなく、階段状の進行もみられないため、血管性認知症は考えにくいです。
- ⑸ レビー小体型認知症幻視やパーキンソン症状、認知機能の変動がみられないため、レビー小体型認知症は考えにくいです。
解説
正解は⑴と⑶です。この患者は物忘れが徐々に進行し、新しいことを覚えられず取り繕うような話し方をしており、頭部CTで海馬の萎縮が認められ、ドネペジルが処方されていることから、アルツハイマー型認知症と考えられます。梗塞巣がないため血管性認知症は否定的で、幻視やパーキンソン症状がないことからレビー小体型認知症も考えにくいです。不整脈に対してワルファリンが処方されていることから、血栓塞栓症の予防が必要な心房細動が考えられます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成