前問の薬剤を選択した理由に最も深く関係する機序はどれか。1つ選べ。
53 歳男性。以前から、A病院内科で高血圧症、脂質異常症、糖尿病、胃潰瘍、腰痛症に対して治療を受けており、症状は安定していた。最近、仕事のストレスのためか気分が落ち込むことが多く、食欲不振、不眠などが続くため、B心療内科を受診した。うつ病と診断され、処方箋を持って、かかりつけの薬局を訪れた。(処方)フルボキサミンマレイン酸塩錠25 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)1 日2 回 朝夕食後 14 日分(薬歴に記載されていたA病院内科での処方内容)ニフェジピン徐放錠20 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 14 日分シンバスタチン錠5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 夕食後 14 日分メトホルミン塩酸塩錠500 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)ファモチジン口腔内崩壊錠20 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)1 日2 回 朝夕食後 14 日分チザニジン錠1 mg 1 回1 錠(1 日3 錠)1 日3 回 朝昼夕食後 14 日分
前問の薬剤を選択した理由に最も深く関係する機序はどれか。1つ選べ。
- ⑴ 胃内pH の上昇胃内pHの上昇はH2遮断薬などによる吸収の変化で、本問の併用禁忌の機序ではありません。
- ⑵ 小腸CYP3A4 発現量の増加小腸CYP3A4の発現増加は酵素誘導の機序で、フルボキサミンの作用ではありません。
- ⑶ 小腸P-糖タンパク質発現量の増加P-糖タンパク質の発現増加はリファンピシンなどによる誘導の機序で、本問とは関係しません。
- ⑷ 肝CYP1A2 の阻害フルボキサミンが肝CYP1A2を阻害し、チザニジンの代謝が妨げられて血中濃度が著しく上昇します。
- ⑸ 肝CYP3A4 の阻害フルボキサミンはCYP3A4も弱く阻害しますが、チザニジンとの併用禁忌の主な機序はCYP1A2阻害です。
解説
正解は⑷です。フルボキサミンはCYP1A2の強力な阻害薬で、CYP1A2で代謝されるチザニジンの代謝を妨げます。その結果、チザニジンのAUCが大幅に増加し、血圧低下や傾眠、めまいなどが強く現れるおそれがあるため、両剤は併用禁忌です。胃内pHの上昇はファモチジンなどによる吸収変化、CYP3A4やP-糖タンパク質の発現増加は酵素誘導による相互作用です。肝CYP3A4の阻害は本問の組合せには当てはまらないと考えられます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成